研究課題/領域番号 |
16K13508
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
伊藤 裕之 九州大学, 芸術工学研究院, 教授 (40243977)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 視覚 / 錯視 / 仮現運動 / ポストディクション |
研究実績の概要 |
純粋に視覚モダリティ内で完結するvisual saltation 効果により、ポストディクションの効果を検討した。visual saltation効果は、同じ位置で2回フラッシュし、直後に離れた場所で1回フラッシュする対象を周辺視で観察すると、2番目のフラッシュが、1回目と3回目の中間の位置に見える現象であるが、2回目のフラッシュを3回目と同じ位置に出しても中間の位置に見えることを確認した。このことは、ポストディクションにより、2回目のフラッシュの位置を認知的に変更していることを示している。次にこの効果が主観的な図形(ここではカニッツァの三角形とエーレンシュタイン図形)においても起こることを確認した。さらに、ランダムドット上で新たなランダムドットが出現する、輝度変化が起こらない刺激を用いても同様の効果が得られることが分かった。このことは、visual saltation 効果において、輝度変化による運動信号(First-order motion)が不要であることを意味し、注意の移動などの高次の運動の認知が関わっていることを示唆している。auditory induced visual rabbit においても、ランダムドットを用いた刺激で生じることを観察した。これらの結果は、国際学会で発表する予定である。 周辺視野に対象を提示すると点滅して見える現象について(基盤研究(A) 15H01 981と連動)、投稿中であった論文に分析を加えてi-Perception誌に掲載した。この現象については、H30年度にさらに詳しく調べる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
論文としての成果を十分出すまでにいたっていない。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度でもあるので、実験と論文の執筆に注力したい。マンパワーが足りない部分は大学院生の短期雇用により協力を得たい。
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次年度使用額が生じた理由 |
最終年度に国際学会への出張を計画しており、その費用に当てることを予定している。他に、論文の英語校閲や投稿料、大学院生の短期雇用費等で、大幅に支出が増えると見込まれる。
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