研究課題/領域番号 |
16K13517
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
高橋 望 群馬大学, 大学院教育学研究科, 准教授 (10646920)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 危機管理 / マネジメント |
研究実績の概要 |
本研究は、東日本大震災、及びニュージーランドカンタベリー大震災を事例に、危機に強い学校組織づくりとそれを導く効果的なマネジメントのあり方を解明することを目的として設定している。そのために、①災害時の学校対応と復興過程、②(教育)行政や地域、NPO等と学校の関係性、の観点から分析を行い、両国の経験を比較検討することで、危機に強い学校組織の在り方とそれを導くマネジメント体制・手法を検討する。 本研究の2年目である本年度は、1年目に引き続き、(1)発災時の学校がどのような状況であったのか、何が課題となったのか、復興のためにどのような取組がなされているのか等、を明らかにすることにするために、被災地(仙台市)への訪問調査を行った。(2)災害時における(教育)行政、NPO等の対応について明らかにするために、関連資料の分析・検討を行った。 (1)について、仙台市内の小学校に勤める教員数名に、発災時の状況、対応、その後の学校教育再開、復興へのプロセス等について、複数回にわたりインタビュー調査を行った。対象事例校は津波の被害が大きく、現在は閉校している学校である。被害状況が異なる地域住民・保護者の学校や教員に対する意識の違い、他校を間借りする際の課題、被災経験の異なる子どもの意識の違い、それがもたらす生徒指導上の課題、等が明らかになった。(2)について、先行研究等の収集と分析を進めた。被災状況が異なるため、地域性や学校状況を考慮しながら、さらに多くの事例を収集・分析していく必要性を確認した。また、(教育)行政の対応、方針等を明らかにするため、文献資料分析に加え、すでに当時の担当者は異動していることを考慮する必要があるが、インタビュー調査を通じて当時の実態分析を更に実施していく必要性を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
災害時における学校の対応、その後の復興プロセスの経験、知見の収集を継続的に実施することができた。また、NZで開催された学会(NZ Association for Research in Education )に参加し、最新情報を収集するとともに、カンタベリー大震災を教育学の視点から分析している研究者との共同検討会を開催するとともに、現地での先行研究分析を実施した。(教育)行政の観点からの分析は不十分ではあるものの、おおむね計画通りに遂行できていると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度の方策として、引き続き(1)学校事例の分析の蓄積のため、更に被災地の学校に訪問し、震災当時の状況、及び現在までの復興の実際について、検討を行う。その際、複数事例を扱うとともに、これまでの調査で対象とした学校、関係者の継続調査の視点も持つようにする。(2)(教育)行政による学校への支援等の関わりについて、検討を行う。(3)日本事例とNZ事例の比較検討を行い、危機に強い学校組織の在り方の検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度に使用することのできる研究費が生じた理由として、予定していたNZ調査を実施できなかったことが挙げられる。その理由は、訪問予定であった現地研究者の研究状況に変更があったためである。その結果、繰越額が生じた。 こうした状況を踏まえ、繰越した研究費は、主に調査旅費に充てる。国内においては、主に仙台市を予定しているが、可能な限り精緻な調査を実施するため、複数回の訪問を予定している。NZにおいては、クライストチャーチに加え、震災研究に継続的に関わる研究者のいるオークランド、(教育)行政機関の学校対応を解明のためウェリントンに訪問することを予定している。また、先行研究分析ため、震災関連資料の購入・収集のためにも繰越分を充てる。
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