本研究は、東日本大震災、及びニュージーランドカンタベリー大震災を事例に、危機に強い学校組織づくりとそれを導く効果的なマネジメントのあり方を解明することを目的として設定している。そのために、①災害時の学校対応と復興過程、②(教育)行政や地域、NPO等と学校の関係性、の観点から分析を行い、両国の経験を比較検討することで、危機に強い学校組織の在り方とそれを導くマネジメント体制・手法を検討する。 本研究の最終年度である本年度は、これまでの研究の総括を行うとともに、不足分を補う関連資料の収集や調査等を実施した。(1)発災時の学校状況や復興の取組等を整理した。(2)災害時及びその後の(教育)行政、NPO等の対応について整理した。(3)これまでの調査等で得られた情報、知見を整理し、危機に強い学校組織の在り方と学校マネジメントついて検討を行った。 ①両国ともに、震災後、安全・防災教育の充実が図られたことが挙げられた。仙台市は、安全・防災教育のための副読本やガイドが作成され、文科省の研究開発学校指定を受けた七郷小学校による「防災安全科」の実践等が確認された。NZにおいては、東日本大震災や豪州の山火事等を事例とした教育実践が確認された。②教育委員会において、学校の安全・防災教育に対して指導・助言する指導主事が置かれるなど、学校への支援体制の充実が確認された。教育委員会が存在しないNZでは、学校間連携が促進されている実態が確認された。③両国ともに、学校と(教育)行政の「すき間」をNPO等の外部機関が担っている実態が確認された。日頃からいかに外部機関との連携体制を構築しておくかが重要となることが見出された。④教育行政機関の有無によって学校対応の在り方に相違が見られることが確認されたため、今後の課題として、地方教育行政の在り方と役割機能について検討することが挙げられる。
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