研究課題/領域番号 |
16K13525
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研究機関 | 京都外国語大学 |
研究代表者 |
蓮 行 京都外国語大学, 外国語学部, 非常勤講師 (10591555)
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研究分担者 |
松下 佳代 京都大学, 高等教育研究開発推進センター, 教授 (30222300)
田口 真奈 京都大学, 高等教育研究開発推進センター, 准教授 (50333274)
平田 オリザ 東京藝術大学, 社会連携センター, 教授 (90327304)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 演劇 / ワークショップ / 授業設計 / 模擬 / シラバス |
研究実績の概要 |
今年度は研究計画書に従い、高等教育機関へのアンケート調査を行うべく、質問紙項目を策定するための予備的な調査として、インターネットでのシラバス検索を行った。一方で、2016年4月にスタートアップ研究会を行ったが、共同研究者の各氏からは、質問紙による全数調査には、その回収率やコスト対効果の面から疑義が上がったため、調査方法を再度検討した。シラバス検索のプロセスでは、まず4大学程度をサンプルとしてピックアップし、検索ワードの策定や、何をもって「演劇的手法を用いている」とするかなどの検討を行った。 シラバス検索は全国の大学・短大・高等専門学校のうち、インターネット上でシラバスを公開している機関を対象に行った。検索ワードは「演劇」「ロールプレイ」「模擬」とし、これらのうちひとつでも含むシラバスを抽出した。抽出されたシラバスについては、まず開講部局・科目名・担当教員名・授業のねらいといった基本情報を記録した。次に、その授業がどの程度本格的に演劇的手法を取り入れているかを数値化するため、「シナリオ作成の有無」「稽古の有無」「上演の有無」「段取りの有無」の4つの項目についてシラバスから読み取り記録した。 以上のようなシラバス検索要領を策定した結果として、目的・対象者・手法の3軸のうち、対象者と手法の種類という2軸については、アンケート調査を行うよりもシラバス検索の方が本件の調査には適していると結論づけられた。 並行して、シラバス検索や学会等で探索された研究者に対して、数件のヒアリングを行った。また、本件にかかわる実践成果について、第23回大学教育研究フォーラムにてポスター発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定では、アンケート調査とそのデータに基づく構造分析を行う予定であったが、調査方法を再検討したため、アンケート実施自体を見送った。 一方で、アンケート調査に替えて、インターネットでのシラバス検索による調査に調査方法を転換したため、研究計画を一部大きく変更する必要が生じ、そのため当初の予定よりやや遅れている状況である。しかし、当初予定していたアンケート調査に比べてシラバス検索による調査のほうが時間的・労力的コストが低いため、現在の遅れは一時的なものであり、今後取り戻せる見込みが十分にある。 また、2年度目に予定されている「演劇的手法による教育プログラム」の設計と試行については、実施予定大学との調整など具体的な段取りを開始している。
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今後の研究の推進方策 |
シラバス検索を多人数の研究補助者に依頼し、2年度目の早い段階で十分な量の一次データを確保する予定である。これにより収集したデータをもとに、事例の分類を行う。そして、上記の分類をもとに、構造の分析を行い、プログラムのミニマムエッセンスや可変要素を明確化する。それをもとに、プログラム設計指針のプロトタイプを作成する。さらに、このプロトタイプの設計指針と大学関係者へのヒアリングの成果をもとに、具体的な「演劇的手法による教育プログラム」を設計する。 このプログラムをもとに、総合大学(学士課程向けと修士課程向けの2種類)、専門学校(異なる専門向け2種類) 、単科大学、教員研修という6種の対象を異にした「演劇的手法による教育プログラム」を設計し、各10~30名規模の授業を1回ずつ計6回実施する。実施大学は、京都外国語大学、大阪大学、天理医療大学を予定している。実践にあたっては、授業展開の記録や、受講者に対するヒアリングやアンケート、評価内容を演劇的手法の仕様にしたルーブリック評価による効果の評価を行い、設計したプログラムの妥当性を検証する。 中間的な成果のとりまとめという意味において、日本教育工学会、日本教育実践学会、日本教育方法学会、日本評価学会等での学会発表を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品購入の際に見込んでいた振込手数料が必要でないことが事後的に発生したため。
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次年度使用額の使用計画 |
消耗品の購入。
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