研究課題/領域番号 |
16K13526
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
北野 幸子 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (90309667)
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研究分担者 |
三村 真弓 広島大学, 教育学研究科, 教授 (00372764)
辻 弘美 大阪樟蔭女子大学, 学芸学部, 教授 (80411453)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 幼保連携型認定こども園 / 2,3歳児クラス / 接続期教育 / 保育教諭の専門性 |
研究実績の概要 |
子ども子育て支援新制度が平成 27 年度よりスタートした。新制度においては、地域社会において子どもを共に育てることが目指されており、保護者の就労形態により地域の子どもの保育の場が分断されたり、保護者の就労形態の変化によって子どもが翻弄されたりといった実態が解消されつつある。しかし、一方で、ここではいわゆる3号認定の子ども(保護者の就労により保育 を必要とする0,1,2歳児)が2号認定(同3歳児以上の幼児)になり、あらたに入園してきた1号認定の子ども(専業主婦・主夫家庭等の3歳以上の幼児)と共に学ぶ姿が、新たにみられることとなった。幼保連携型認定こども園につとめる保育者は、幼稚園教員免許と保育士国家資格の両方を有することが条件とされており、「保育教諭」と称されている。 本研究では新しく創出した2,3歳児の接続期クラスの実態を明らかにし、「保育教諭」に新たに必要とされる専門性を明らかにするために、幼保連連携型認定こども園の2,3歳児クラスへの訪問調査を行った。また、保育教諭対象のヒアリング調査を実施した。さらには、家庭教育支援に関する調査研究のレビューや、保育実践事例の分析を行った。 その結果、基本的生活習慣や人間関係の育ちに園生活の経験の違いがあることがわかった。一方で保育教諭にとってはこれまでの経験とは異なるクラス成員の状態が起こっていたため、不安があったり新たな工夫を必要としていた。特に年度初めに多様な子どもたちや家庭への対応について、新たな配慮や援助が必要であることが明らかになった。しかし、他方で、子どもたちにとっては、その年その時が新しい体験であり、予測された混乱や問題は生じてないという実態が明らかになった。保護者の就労形態の違いや、保育時間の違いについては、子どもには混乱がなく、寛容性が高い様子が明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
幼保連携型認定こども園のうち、幼稚園から移行した園、保育所から以降した園、新設園それぞれについて訪問調査や、保育教諭対象のヒアリング調査を実施することができた。特に当初の予定以上に、実践についてのデータを収集することができた。また予定の調査にさらに加えて、家庭保育支援の実態についての調査研究のレビューなど、より幅広く、2,3歳児と園・家庭について分析をすることができた。しかし、当初予定していた発達調査については、一部実施できていない調査がある。よって、進んでいる部分が多いが、遅れている部分があるため、「おおむね順調に進展している」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
当初予定していた、保育教諭対象調査と、子どもの発達調査に加えて、本年度も引き続き幼保連携型認定こども園訪問調査や2,3歳児の子どもの実践事例の分析調査を実施することとする。その理由は、2,3歳児の接続期クラスの教育について、独自の内容や方法があり、保育教諭の専門性の特徴があることを想定していたが、それ以上に、子どもたちの多様性に関する寛容性の育ち等、独自な姿があることが明らかになったため、接続期クラスの子どもの実態をより詳しく調査する必要があると考えたためである。
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次年度使用額が生じた理由 |
初平成28年度に実施する予定としていた、2,3歳児対象の発達調査については、一部実施できなかった。2,3歳児クラスの訪問調査やヒアリング調査を実施したところ、発達調査の本調査実施前に、その項目や内容について、さらなる検討を行う必要が生じたためである。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度に実施した文献や資料分析、およびヒアリングや訪問調査の成果について、平成29年度中に再度分析し、同年に2,3歳児対象の発達調査の項目を選定し、調査を実施する計画である。
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