研究課題/領域番号 |
16K13535
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研究機関 | 淑徳大学 |
研究代表者 |
齊藤 崇 淑徳大学, 総合福祉学部, 准教授 (20461725)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 自己形成プロセス |
研究実績の概要 |
東日本大震災直後の福島県における新任保育者であった保育者に対しての「自己形成プロセス」について、明らかにしようと研究を開始した。前年度、震災直後に福島県において新任保育者だった保育者に対して「保育者アイデンティティの形成過程」についてインタビュー調査からある程度の理論生成を行い、検討をしてきたが、その結果を踏まえて、保育者アイデンティティの類似概念である自己形成に焦点を当てて、インタビュー調査を実施し、検討をしようとしているところである。調査対象者は震災時に保育学生、または、保育歴1~2年目であった福島県中通り地方における保育者(震災直後に福島県内において新任保育者であった者)3名を対象に半構造化面接を実施した。ただし、半構造化面接を実施の際にLife-line Interview Methodを用いて、保育者の成長とかかわりのある保育者効力感を主観的に評価してもらい、音声データを逐語録にして、現在,SCATといわれる質的分析法を用いてを分析を始めているところである。研究の協力依頼については、探索的研究のため、引き続き、依頼を行い、追加のデータを取る中で分析を進めていき、福島県における新任保育者の自己形成プロセスについて検討していくものとする。検討後に、福島県における新任保育者に焦点を当てた新任保育者研修プログラムを開発し、実験群、統制群において研修プログラムの効果について、プロセスとアウトカムの両方の調査を実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
福島県の震災直後の新任保育者だった者を対象に保育者の自己形成プロセスに焦点を当てて、インタビュー調査、分析を実施することが今年度の目的であったが、今年度実施予定であった研究について、研究対象条件の現職保育者を探す際に時間がかかり、研究実施の同意を得られた協力者が3名にとどまってしまったことと、さらに、前年度の保育者アイデンティティの形成過程の研究が、今年度までかかったため、当該年度の研究計画よりも遅れている状況である。現在までの進捗状況としての詳細としては、3名の研究対象条件に該当する現職の保育者に協力していただき、半構造化面接を実施し、ICレコーダーに録音した音声データを文字データに変換し、質的研究法に長けた研究者のスーパーバイズのもと、SCATの分析手法において探索的に分析を実施しているところである。研究対象条件に合う現職の保育者への研究依頼を進め、追加データの依頼を行い、研究対象条件に該当する現職の保育者へのインタビュー調査を実施し、引き続き、SCATによる質的分析を実施していきたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究段階で、研究対象条件の合う研究協力者を探し、依頼するまでに時間がかかってしまい、今年度に予定されていた研究について、実施が難しい状況であったため、その遅れをすみやかに解消する予定である。特に、今年度、来年度の研究計画の変更はない。そのため、今後の研究の推進方策としては、研究協力者に対して、すみやかな協力依頼を実施し、研究対象条件に合う研究協力者を確保することに力を入れて、それに伴う調査の実施が必要になる。今年度の引き続きの調査として数名程度を予定しており、並行してSCATの分析を実施する。その後、次年度の研究計画どおり、福島県の新任保育者を対象にした保育者の研修プログラムの開発を行い、そのプログラムの成果についてプロセスとアウトカム両者に着目し調査をすみやかに実施し、分析を行うものとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の進捗状況が遅れている中で、今年度に使用する予定であった金額を次年度における支払いになっているため、次年度 使用額が生じているものと考える。謝礼や高額な音声データから文字データに業者に依頼するものや文献にかかる金額や研究で必要となる諸経費に関して、できるだけ使用額を節約したために、次年度への使用額が生じたことも一つの要因とも考える。 さらに、成果についても、研究の途中であるために大きな成果出る前であり、学会等の諸経費が次年度使用額として生じたものと考えられる。 使用計画としては、当初、計画をした通りの研究費の使用を行いたいと考えている。まずは、謝金について、研究協力者に支払う予定である。また、当該研究に必要な文献、論文などの費用について使用する。さらに調査に必要な 交通費やスーパーバイザーへの謝金、学会発表等に必要な経費などや、音声データから文字データへの業者委託費などの計画に必要な費用についても計画通り使用してくこととする。さらに、計画で予定している備品の購入を進めながら、円滑に研究を実施していく計画である。
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