3年間のプロジェクト期間の最終年にあたる本年度においては、これまでの調査・実践活動をふまえて以下の活動を行った。1)南三陸町歌津地区にある3校(歌津中学校、伊里前小学校、名足小学校)の学力実態調査のデータ分析、2)3校における自学用算数・数学プリントの完成、3)上記プリントを主教材とする、夏休み期間中の学習支援の実施。以下、それぞれについてより詳しく述べる。 1)学力調査の分析。南三陸町教育委員会との共同研究として、全国学力・学習状況調査の結果の経年比較を行った。その結果、この3年間の間に、3校ともで着実に子どもたちの学力が向上しているという実態が浮かび上がってきた。特にこれまで数学の結果がふるわないとされてきた歌津中学校の成績が大幅に上昇しているという結果が導き出された。町教委の評価では、現地における大阪大学の支援活動が、学力向上に一定の効果をもたらしたに違いないとされている。 2)初年度に試作品をつくって以来、改良・バージョンアップを重ねてきた算数・数学のプリント集(「うたはんプリント」)の全体を完成させることができた。小1から中3までの全学年に対して作成したプリント(「うたはん」プリントA4版)の総数は、500枚以上にのぼる。そのプリントは、対象となる3校それぞれで、子どもたちの計算力・基礎学力の向上に向け授業内外で活用された。 3)代表者が運営している研究室(大阪大学人間科学研究科教育文化学研究室)が主体となって東日本大震災以降継続してきた夏休みの学習支援(略称「うたはん」)を、今年度も5日間にわたって夏休みに3校で実施した。通算8回目となる今回は、前述のプリントを中心とする算数・数学の基礎学力向上を中心とするプログラムを設定した。
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