本研究ではハンガリーの中国系の子どもにみるトランスナショナルな進路選択の多様性と、それを生み出す諸要因を明らかにした。そこでは、主流社会の学校に適応することがトランスナショナルな進路選択に結びつく場合もあった。 本研究を通して、教育におけるトランスナショナリズムをめぐる問題は、学校への適応・不適応によるホスト国への統合をめぐる問題と複雑に絡み合っていることが明らかになった。EU諸国の移民の子どもの教育やアイデンティティ形成を把握する上では、統合とトランスナショナリズムの両者を視野に入れなければならない点を実証的に明らかにした点に、本研究の意義がある。
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