(1)アイヌ民族の生活文化の教材化と系統的カリキュラムの指針の作成:アイヌ民族の生活文化を衣・食・住に分類し教材化するために、次の四点を留意点として研究を行った。①アイヌ民族の生活文化・生活様式を教材化する際、それぞれの教材の個別的な利用を考えるだけでなく、それぞれの文化・様式にかかわって、それを裏付ける自然に対する見方、世界観に注目しながらの分析・分類を行った。②白老町、白糠町、阿寒町、二風谷を中心に、現地の人々や現物にあたり、行われている行事や取り組みなどに触れ、当事者の行動と考え方の聞き取りを行った。③アイヌ民族の生活文化・生活様式の個別の教材化についての検討を行った上で、それに基づいた系統的なカリキュラム化の試みを行った。④先住民族の自然との共存と持続的な社会の発展に寄与する哲学を洗い出し、わが国における学校教育カリキュラムへの適用について考察した。 (2)アイヌ民族との比較調査を行う先住民族文化の調査:台湾、アラスカ、カナダの先住民族に関する教育事情の調査を行った。カリキュラム化については、アメリカ・アラスカ州のエフィコクリン・スクールを先行事例として同校に対する訪問調査を行い、討議を進めた。 (3)個別教材を組み合わせた授業カリキュラムの試案と一部の試行:平成30年度には、カリキュラム指針に基づいて、個別教材を組み合わせた授業カリキュラムの試案の策定と試行授業を行い、附属小学校と連携をした検証を行った。令和2年度には、上記試行カリキュラムの改善・修正を行い系統的なカリキュラムを完成。完成させたカリキュラムについては報告書として、アイヌ文化の継承・発展と現代社会の消費生活に対するふり返りを行う資料として、今後、関係各所へ頒布する予定で進めている。
|