研究課題/領域番号 |
16K13569
|
研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
小澤 基弘 埼玉大学, 教育学部, 教授 (40241913)
|
研究分担者 |
池内 慈朗 埼玉大学, 教育学部, 教授 (10324138)
萩生田 伸子 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (70292638)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | スケッチ / 小学校 / 朝活動 / 創造性育成 / 認知特性 |
研究実績の概要 |
平成28年度は大久保小学校及び在家小学校の朝活動「スケッチタイム」で描かれた一年分の全スケッチ作品の画像スキャン及び学年末の質問紙調査を行なった。平成24年度よりこのリサーチを開始し5年目を無事に終えることができた。本研究の目的は、これまでの約10万枚に及ぶ児童のスケッチ画像及び各児童の質問紙調査結果を、エクセルで一覧表を作成することである。二校の小学校の全児童のこれまで描いたスケッチ作品を時系列にしたがって整理し、質問紙調査の結果と照応可能となる一覧表を現在作成中である。極めて膨大な量であるので、まだ3年間分の整理にしか至っていないのが現実である。 また、児童の認知特性を測るためのチェックリストを作成し、先行施行として埼玉大学付属小学校5年生に2度実施し、その信頼性と妥当性の検討を行なった。この作業は本年3月に完了した。したがって、作成したチェックリストは児童の認知特性を測る上で、信頼性に足るものであることが立証された。 平成29年度は、このチェックリストを大久保小と在家小の2校の5年生を対象に実施する。そこから導き出される各児童の認知的特性と、その子どもが描いてきたスケッチ表現のありようとの関係性を、まずは質的な判断を通して探って行くことになる。その際には大学で美術を指導する専門家に被験者になっていただき、それらのデータから、児童の認知特性とスケッチ表現に見られる特質との相関を抽出していく作業を行うこととする。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は平成24年度から着手しており、平成28年度で5年目に入った。それ以前の4年間、毎学期末に二校の小学校において、全児童の朝活動「スケッチタイム」のスケッチを全て画像記録し、毎学年末には質問紙調査も継続して実施してきた。本研究の当初の研究期間は6年間としており、平成29年度末に研究に必要なデータの全てが収集されることになる。本研究は、児童が1年次に入学してから卒業するまで、毎週スケッチを描き、それを記録することで、児童各自の表現のありようと、その児童の認知的特性との相関を明らかにすることを目的として設定している。今年度をもって二校1学年分の6年間を通したスケッチ変遷の画像データが完成することになる。 平成28年度は、児童各自の認知特性を測るためのMIをベースにしたチェックリストを考案し、その信頼性と妥当性を埼玉大学付属小学校において検証した。今年度はそのチェックリストを二校の小学校5年生に施行し、スケッチ表現と各児童の認知特性との関係性を明らかにしていくことになる。 以上本研究課題の目的を達するにあたり、現時点ではそれを可能とする確実なデータの蓄積があり、また認知特性を測るためのチェックリストの精緻化も完了している。以上が上記区分の理由となる。
|
今後の研究の推進方策 |
既に「進捗状況」でも述べているように、今年度は昨年度同様に毎学期末に二校の小学校での朝活動「スケッチタイム」で描かれたスケッチの画像スキャニングを継続して行う。5年目を終え、画像枚数は10万枚を超えている。残す1年で一応当初の研究計画の区切りとすることができる。また、今年度は二校の小学校の特に5年生を対象としてMIベースのチェックリストを施行し、各児童の認知特性を知る術とする。そうした認知特性で子どもたちをグルーピングし、それぞれのグループに属する児童の描いたスケッチが、どのような傾向を示しているのかを、美術専門家の大学教員3名に判断をしていただく。 以上の研究のもっとも大事な課題は、膨大な数の児童のスケッチをどのようにブラウジングして俯瞰的に捉えられるか、その具体的方策の確立であろう。この件については、現在専門家の意見を聞いているところである。この課題を合理的にクリアできれば、都合6年に及ぶ画像データと質問紙調査の結果から、極めて有効な研究成果が見えてくるはずである。
|
次年度使用額が生じた理由 |
教育学部事務移転に伴い、研究費使用残高の照会がままならず、当方で把握していた使用額と実際の使用額との間に微妙な認識のズレが生じたために、247円残ってしまった。意図的に残したわけではない。
|
次年度使用額の使用計画 |
247円を今年度の必要経費に充てる予定である。
|