本研究は、これまで未着手であった保育案や活動重視の学習(生活科、総合的な学習の時間等)に見られる学習指導案に着目し、その整理とともにそこで得られる知見をベースとして教員の指導力向上のための立案・記録併用型の活動可視化ツール(以下、ラーニ ング・スケッチ)を開発・提案をめざしたものである。 本年度(最終年度)前半では、4月から5月にかけて昨年度までに得られた研究成果を整理してきた。6月前半の日本生活科・総合的学習教育学会では、ラーニ ング・スケッチの試み(生活科)や教員研修での分析を発表した(3件)。また、所属先の附属小学校において「ICTを活用したラーニングスケッチ」に関する情報交換も行い、修正検討を向かう一方で、鳥取県小学校教育研究会では、昨年度から引き続いて小学校での実践開発等にかかわり、ラーニングスケッチを活用する発表会を支援した(研究指導と研究発表会での講演)。6月後半の新任向け研修講座(東大阪市)や所属大学の研修講座(7月後半)、さらに広島県福山市でも昨年度同様に随時ラーニングスケッチの研修を行ってきた。夏の学会発表(日本理科教育学会)では、大阪市内小学校での取り組み(ビジュアル型としてのラーニングスケッチの検討)を発表した。その後、教師向け意識調査データの分析を中心に論文としてまとめるとともに「小学校理科『深い学び』につながる授業アイデア64」(2017)にも学習指導案ビジュアル化のアイデアとして一部を掲載した。本年度後半では、保育・教育に関わる教師を対象としたラーニングスケッチに関する調査を行い、まとめとして海外発表(2017:1件、2018:2件)をしている。学習指導案に関する資料収集も現地で行い(韓国、山口県・北海道)、特に山口県及び北海道の研究会で見られる「板書型指導案」に関しては、ラーニングスケッチの参考論文としてまとめることができた(2018)。
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