研究課題/領域番号 |
16K13575
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
池野 範男 広島大学, 教育学研究科, 教授 (10151309)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 社会科教育 / つまずき / 学習困難 / 比較研究 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、わが国の社会科授業場面のつまずき研究に適用できる仮説を見出すことにある。 そのために、外国の同様な研究やその成果との比較により、本研究の仮説(群)を導き出し、社会科学習のつまずきに関する新しい研究の出発点を作り出すことを具体的な目標である。とくに、つまずきの第一は学習者の子どものそれであるが、往々にして、教師や授業におけるそれである場合もある。 平成28年度の研究としては主に、先行研究を分析した。それは、池野を代表とする、学習困難に関する一連の研究「学習困難の研究(1)~(5)」(広島大学大学院教育学研究科附属特別支援教育実践センター編『特別支援教育実践センター研究紀要』第12、13、14号、2014-17年)の成果を中心に整理した。そのまとめとして、学問との連関と生活との連関の相乗的関連(仮説①)を摘出し,特別支援教育としての教科教育、社会科教育における学習困難にもこのまとめを適用可能であろうことを仮説として提起した。 先行研究ともに、本研究の目的である、国際比較研究にも着手した。子どもたちの学習のつまずき以前として、中国の研究者(魏思遙「中国における授業設計改善方略研究-中学校地理の場合-」広島大学学習システム促進研究センター編『学習システム研究』第5号、2017年3月、pp.69-79)の支援を得て、中国を事例とした教師の授業設計上のつまずきを解明する研究を参照することができた。その成果は、教師が教育困難を克服するには、2つのこと、つまり、目標実現のために目標―内容―方法の連関を図ること(仮説②)、学習者の興味関心を配慮すること(仮説③)である。 本年度の成果は、先行研究分析と中国における教師の教育困難研究から引き出した仮説①~③であった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度の予定では、中国のほか、トルコ、英国も比較対象としていたが、トルコの研究は、世情不安定のために、交流が不十分であった。英国との交流は果たしたが、成果を出すには至らなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
比較調査を予定している、トルコ、英国を中心に、社会科教育における、教師の指導、学習者の学習におけるつまずき研究を収集し,学習困難とその克服に関わる仮説群の形成を行う。それとともに、具体的な社会科授業において学習者がもつ学習困難の調査を行い、その克服の手立てを追究する。
|