研究課題/領域番号 |
16K13575
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研究機関 | 日本体育大学 |
研究代表者 |
池野 範男 日本体育大学, 児童スポーツ教育学部, 教授 (10151309)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 社会科教育 / つまずき / 学習困難 / 比較研究 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、わが国の社会科授業場面のつまずき研究に適用できる仮説を見出すことにある。そのために、外国の同様な研究やその成果との比較により、本研究の仮説(群)を導き出し、社会科学習のつまずきに関する新しい研究の出発点を作り出すことを具体的な目標である。とくに、つまずきの第一は学習者の子どものそれであるが、往々にして、教師や授業におけるそれである場合もある。 平成29年度の研究としては、第一に、つまずき、困難研究の仮説の精緻化を図ること、第二に、主に、英国と米国の社会科学習上のつまずき、困難研究を分析することを行った。 第一の研究仮説の精緻化では、3つの研究仮説を昨、平成28年度設定した。その仮説とは、仮説①、学問との連関と生活との連関は相乗的に関連している、仮説②、目標実現のために目標―内容―方法の連関を図る、仮説③、学習者の興味関心を配慮することがつまずき、困難を克服することに有効である、というものである。これらをより精緻化した。 第二の英米の研究である。とくに、米国の特別支援学級における社会科の多様化指導(Differentiating Instruction with menus for the inclusive classroom Social Studies, 2013)を事例にして、多様化方略に見られるつまずき、困難の想定、その対応と原理を検討した。明らかになったことは、「教師が教える方法で子どもたちが学ぶことができないなら、私たちは、彼ら子どもたちが学ぶことができる教え方を学ぶ」ということである。このことは、小学校社会科授業研究や中学校地理授業研究との関連においても検討をした。 この2つの研究の結果、平成29年度の成果として、仮説③→②→①へと適用し、子どもたちの学習上のつまずき、困難を克服することへと導かねばならないということである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成29年度の予定では、英国、米国とともに、ドイツも比較対象としていたが、ドイツの研究は十分になすことができず、課題として残っている。
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今後の研究の推進方策 |
比較調査を予定している、米国、英国、ドイツを中心に、社会科教育における、教師の指導、学習者の学習におけるつまずき研究を収集し,学習困難とその克服に関わる仮説群の検証を行う。それとともに、具体的な社会科授業において学習者がもつ学習困難の調査を行い、その克服の手立てを追究する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度、予定していたドイツ調査が共同研究者である、ハンブルク大学のティルマン・グラメス(Tilman Grames)教授の都合で、訪問調査ができなかったため。
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