研究課題/領域番号 |
16K13577
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
宇都宮 明子 島根大学, 学術研究院教育学系, 准教授 (40611546)
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研究分担者 |
原田 信之 名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 教授 (20345771)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | コンピテンス・モデル / 21世紀型能力 / 日本とドイツの一般教育学研究 / 日本とドイツの歴史教育学研究 |
研究実績の概要 |
本年度は、主として2つの研究課題に取り組んだ。第1が、ドイツ一般・歴史教育学研究におけるコンピテンス・モデルの比較研究である。ドイツ一般教育学研究では、どのようなコンピテンス・モデルが提案され、どのような能力枠組みで構成されているのかを明らかにした。ドイツ歴史教育学研究では、代表的な4つのコンピテンス・モデルが提案されている。これらのコンピテンス・モデルを比較考察し、中でも機能性が高いとされるFUERのコンピテンス・モデルがなぜ有効とされるのかを各コンピテンス・モデルとの比較から考察し、その共通性や相違性を検討した。この検証から、ドイツの歴史授業で育成するコンピテンスがどのような原理に基づき、その能力枠組みがどのように構成されているのかを考察した。 第2が、日本の歴史教育固有のコンピテンス・モデルの開発研究である。第1の研究課題で検討したドイツ一般・歴史教育学研究におけるコンピテンス・モデルの日本への適用可能性と実現可能性を考察し、日本の歴史教育固有のコンピテンスを検討した。日本の歴史教育では、一般教育学でいう21世紀型能力と歴史教育固有のコンピテンスはどのような関係性からなるのか、どのような歴史的な見方・考え方に基づいてコンピテンスをどのように育成するのかを解明することが重要であることが明らかとなった。この研究成果を踏まえ、日本の歴史教育固有のコンピテンス・モデルを構想する方策を具体的に究明することまで実施することができた。 しかし、本年度までは一般教育学研究と歴史教育学研究を分けてそれぞれ実施しており、両教育学研究を融合した成果を導くには至っていない。そのため、21世紀型能力を育成する歴史教育固有のコンピテンス・モデルの開発にはまだ至っていない。そこで、来年度にその研究の実施を図ることとしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度で日本の歴史教育固有のコンピテンス・モデルの開発まで実施する予定であったが、開発までは至らなかったのがやや遅れているとした理由である。ドイツ一般・歴史教育学研究におけるコンピテンス・モデルの日本への適用可能性と実現可能性を考察し、日本の歴史教育固有のコンピテンスを検討することはできたが、21世紀型能力と歴史教育固有のコンピテンス・モデルをいかに融合するのかの検討が困難であり、より詳細に検討する必要があることが明らかとなった。 また、研究成果を発表するにあたり、本の出版を予定していたが、本年度中の出版は時間的余裕がなく実現できなかったため、来年度での作業が必要となっている。来年度において研究成果を出版することで、充実した研究として実現させたい。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は、本年度までの研究成果を踏まえ、21世紀型能力の育成を可能にする歴史教育固有のコンピテンス・モデルを開発する研究を実施するとともに、その研究成果として本を出版する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度が最終年度であったが、最終的な目標としてのコンピテンス・モデルの開発に至ることができなかった。コンピテンス・モデルを開発した上でその成果を本として出版することをめざしている。 そこで、来年度はこれまでの研究成果を踏まえ、歴史教育固有のコンピテンス・モデルを開発し、その成果を出版することが使用計画である。
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