研究課題/領域番号 |
16K13579
|
研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
鈴木 篤 大分大学, 教育学部, 准教授 (70634484)
|
研究分担者 |
杉田 浩崇 広島大学, 教育学部, 准教授 (10633935)
杉原 薫 鹿児島大学, 法文教育学域教育学系, 准教授 (60610897)
山口 裕毅 環太平洋大学, 次世代教育学部, 講師 (50735272)
渡邉 満 広島文化学園大学, 人間健康学部, 教授 (30127740)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 道徳・市民教育 / フランス |
研究実績の概要 |
本研究の最終年度にあたる本年度は、フランス・マルセイユ市の小学校および中学校において訪問調査を実施した。具体的には、現在の道徳・市民教育に関する教師用手引きならびに教科書の分析を行うとともに、リヨン市と並んで人口規模においてフランスのトップ3に入るマルセイユ市において調査を行い、(多文化化が進む近年のフランス社会の特徴も念頭に置いた上で)多文化社会における道徳・市民教育の具体的実践について実態を明らかにすることを試みた。 調査より明らかになったのは、構成員の多様化が進み、多様性の存在を前提としたフランス社会においては、道徳・市民教育においても考え方・行動の画一化や個人的領域への干渉はほとんど目指されておらず、国家を構成する基本的理念の尊重や他者との共生方法についての議論が全ての構成員に求められるのみであるという点、しかし他方で民主主義的な理念に基づく際には社会への参画や行動が称揚され,国防や平和の保障と国際正義への貢献さえもが求められるという点である。また、そうした能力を高めるために、初等教育段階においても前期中等教育段階においても教科書の使用には必ずしも拘束されない多様な学習形態・方法がとられていることも確認された。さらに近年の多文化社会化の進展の中、子どもたちの家庭において正しいとされる価値観と学校において正しいとされる価値観とが合致しないという事態もしばしば生じ、そうした齟齬への対応が個々の教師の努力に求められるようになっているという事態も見出された。
|