研究課題/領域番号 |
16K13583
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研究機関 | 北星学園大学 |
研究代表者 |
金子 大輔 北星学園大学, 経済学部, 教授 (70397438)
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研究分担者 |
倉山 めぐみ 函館工業高等専門学校, 生産システム工学科, 准教授 (20710867)
森下 孟 信州大学, 学術研究院教育学系, 助教 (70642528)
國宗 永佳 信州大学, 学術研究院工学系, 助教 (90377648)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 吹奏楽 / 物理量 / 管楽器演奏支援 / フィードバック / 熟達した指導者 |
研究実績の概要 |
平成28年度は,第1に演奏の練習を支援する教材の基礎部分の開発を行った.比較的測定しやすい物理量であるリズム・ピッチ(音高)・音量などについて,具体的に検討するため,多様なレベルの演奏者を集めてアンサンブルを行い,それを録音したものを解析することとした.同時に,教材に組み込むシステムのプロトタイプの仕様を検討し,プロトタイプの開発を開始した.現時点では,ピッチの検出機能について開発と評価を行った. 第2に,管楽器演奏の初学者に対して,継続的に基礎練習を行わせた.とくに個人練習によって技能を向上させることができるか検討した.本研究で開発する教材は,初学者の個人練習での利用も十分に考えられるためである.演奏者自身の演奏音を客観的に評価し,適切なフィードバックを与えることで,個人練習でも技能を向上させられることが明らかになった. 第3に,ICTを活用した既存の楽器練習法および教材の調査を行った.既存のICT教材は,音や演奏をフィードバックする際にそれらを視覚化することで,演奏技能の向上に一定の効果がある.しかし,音楽的な感性を評価するための音・演奏の認識精度とそのフィードバックのあり方には課題があることを明らかにした. 第4に,熟達した指導者へのインタビューを試験的に実施した.今後の協力関係を確認したほか,第1のアンサンブルで利用する楽譜の選定や,楽器の組み合わせなどについて助言を得た. そのほか,楽典や吹奏楽,その指導法に関する文献について資料収集を行ったほか,日本教育工学会研究会や教育システム情報学会学生研究発表会,Hawaii International Conference on Educationなどで,途中経過や研究の概略について発表し,意見交換を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成28年度はまず教材の開発を優先した.教材は入力された音を解析する箇所が一番重要であり,そのためには,多様な音源を用意する必要があった.レベルの異なる多くの演奏者を集め,ホールや学校の音楽室などの場所で録音を行ったが,それらを一体として分析するのは現時点では困難であることがわかった.そのため,1本1本のマイクから入力された音についてのみ分析しており,全体の音を物理量として表すことが現時点では困難である.熟達した指導者へのインタビューは,録音された音をもとに実施する事を考慮しており,その点で平成28年度におけるインタビューの実施を見送ったため,進捗がやや遅れているとした.
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度以降は,教材のシステム部分の開発を引き続き実施する.また,録音された演奏音について物理量を計測し,より特徴的な演奏をいくつか抜き出す.それをもとに,熟達した指導者へのインタビューを実施する.
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次年度使用額が生じた理由 |
残金に端数が出てちょうどの金額で使い切ることができなかったため,これを繰り越しとした.
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次年度使用額の使用計画 |
物品費の一部として使用する予定である.
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