研究課題/領域番号 |
16K13584
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研究機関 | 文教大学 |
研究代表者 |
吉田 正生 文教大学, 教育学部, 教授 (20261373)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 社会参画 / 公‐共‐商‐私 / 社会問題 / 実践力 / 問題解決力 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、「社会参画」力を育成する教科に社会科を生まれ変わらせる授業を開発することである。吉田が、そのための理論的原理として打ち出したのは、社会問題等に対して”社会全体が何ができるか・何をすべきか(すべきでないか)”を学習者に省察させるという学習内容‐方法であった。しかし、社会全体としたままでは、アクターが漠然としすぎており、学習者に考えさせることができない。そこで社会を「公-共‐商‐私」と4圏域に分け、公‐共‐商‐私それぞれの圏域に属すアクターが何ができるかなどを省察させるというようにより具体化した。 これに基づいて次の4つの学習指導案が作成された。 ○榎本千裕「防災ガバナンスの視点を取り入れた『社会参画力』育成の授業」(小4) ○本松宏章「社会参画力を育成する『情報産業・情報化した社会』の授業」(小5)○笹岡智聡「災害復興を実現する政治―考えよう!みんなにとって公平でよりよい復興」(小6) ○中村雅美「『社会参画学習』論に基づく日本の人口問題の授業」(中1地理) 今年度は、これらの授業プランのうち、笹岡プラン、中村プランが実践され授業者自身によって撮影された。8月にこの二人の学習指導案と授業記録(映像)をもとに授業研究を行い、次のような課題が出された。○それぞれのアクターが何ができるかを考えさせるとき、どのような資料をどこまで教師は用意しておくべきか。 ○子どもたちに、他の子どもたちの出したプランの善し悪しを検討させるための判断基準として、教師はどのようなことをおさえておくべきか。 一般論ではなく、具体的な授業を手がかりにこの2つの問題について次年度以降、深めていこうということになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
吉田が社会参画力を育成するための社会科授業在り方を理論的・原理的に示したのは、平成26年である。それに基づいて、吉田のゼミの学生が卒業論文の一環として社会参画力を育成するための授業を開発し、卒論というかたちで残していっている。また上記のような授業も現職の小学校乃至は中学校の教員によって開発され、中には実践されたものもある。さらに、夏にこの教員たちに集まってもらい、授業検討会も行い、課題も洗い出した。しかし、もっと多くの授業を開発したいと思っている。 したがって、「おおむね順調」という評価にした。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、社会参画学習の実践可能性をさらに増すことを目的として研究計画を立てた。 具体的には、授業開発者たちによる模擬授業(本学の学生を相手とする)実施⇒学生を交えての授業検討⇒授業プランの改善というサイクルを打ち出した。 また、これとは別に新たな授業の開発を進めていく計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
吉田、笹岡以外に学会で発表する者を想定して旅費を予定していたが、まだ発表できるところまでその者の研究がまとまっていなかったため、旅費が余ってしまった。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度は学会発表するものの人数を増やしたい。「次年度使用額」に回したものを学会参加旅費等に充当する予定である。
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備考 |
文教大学教育学部(社会専修)吉田研究室ホームページ 社会参画学習論を知らない人たちのために作成したものである。
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