社会科としての「社会参画」学習については、次の2点を踏まえるべきだという結論に到達した―― ①実際に何らかの行動を児童・生徒に求めるのではなく、「実用・実践知」を案出する力を育成すること及び「実用・実践知」と「実践的技能」の習得を図ること、②ある社会問題に対して何ができるかを考えさせるとき、従来の社会科のように子どもたちに「今」の「自分」が何ができるかを考えさせるのではなく、社会の成員みんなが何ができるかを考えさせること――。 これをもとに、下掲のような授業モデルを作成し、さらに小学校の授業プランを4本(小4=「ごみの学習」、「水の学習」;小5=「情報社会と地域コミュニティの学習」;小6=「政治学習」)、中学校の授業プランを2本(中1地理=「人口問題」、中3公民=「エネルギー問題」)を開発した。 〈授業モデル〉 1. 「社会問題」の提示 2. 問題が生じた理由の探求 3. 教師の指導の下、話し合いによって「公‐共‐商‐私」の各領域から問題解決にふさわしい行為主体を選び出し、「各行為主体は何をすべきか・できるか」を話し合う。 4. 教師の指導の下、話し合いによって各行為主体がなすべきこと・できることとしたものを検討し「なすべきでないこと」を選び出す。 5. 「なすべきでないこと」とされたもののうち一つを取り上げ「~~のような施策を講じるならやってもよい」という「合意形成」を子どもたちのなかに生み出すために、話し合いを組織する。 6. 各人が「公‐共‐商‐私」のアクターのなかからいずれか一つを選び、自分ならどのような行為をするかあるいは制度をつくるかノートにまとめる。この時には当然「自分の価値に一致しているのか;なぜそう思うのか;そのアクターにはどんなことが降りかかってくると思うか;どうやってそれを乗り越えるのか」について書くよう指示する。
|