道徳教育改革の柱である「特別の教科 道徳」が、今年度から小学校で全面実施されたことから、学校現場はその対応に向けて精力的に研究を進めている。中学校でも来年からの全面実施に向けて研究実践が活発化している。また、平成29年3月に告示された新学習指導要領の趣旨に従った学校教育全体の改革も進められている。 そこで、今年度も、学校現場の道徳教育の動向を探り、理論的な研究とかかわらせて、『特別の教科 道徳」を要に学校教育全体でどのように道徳教育を進めていけばよいのかに焦点化し、具体的な道徳教育プログラムの開発に専念した。外国の道徳教育やアンケート調査による実態把握などは、同時に研究代表者として助成を受けている基盤研究(B)での研究に任せて、その成果をも取り入れるようにした。本年度は、最終年度であることから、研究協力者との研究会を多くもつとともに、全国の研究者や実践者に広く研究成果を公開し意見交流を図ることから、研究内容の修正や精緻化を図っていった。 道徳学習プログラムの開発においては、新教育課程において強調されているカリキュラム・マネジメントの視点と、これから求められる3つの資質・能力育成の視点、子どもたちが「主体的・対話的で深い学び」ができるようにするアクティブ・ラーニングの視点をベースに、検討を行った。特にカリキュラム・マネジメントの視点からは、教科横断型の学習、地域の社会的資源や人的資源の活用、評価の位置づけと研修計画を明確化する。資質・能力育成の視点では、3つめの柱「学びに向かう力、人間性等」を重視して学びの統合化を図る。アクティブ・ラーニングの視点からは、子どもたちが主体的に学びを深める課題追求型のプロジェクト型総合単元的道徳学習を開発する。といったポイントを明確化し、それらを含み込んだ道徳教育プログラムの開発に取り組んだ。
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