研究課題/領域番号 |
16K13589
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
岡本 尚子 立命館大学, 産業社会学部, 准教授 (30706586)
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研究分担者 |
黒田 恭史 京都教育大学, 教育学部, 教授 (70309079)
前迫 孝憲 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (00114893)
江田 英雄 光産業創成大学院大学, 光医療・健康分野, 教授 (00395237)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 数学教育 / 情意 / 生理学 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,通常の学習場面に近い実験環境下において,学習者の生理学データ(主に,脈拍や呼吸)を計測することにより,指導者からの助言が学習者に及ぼす情意面の影響を,生理学的に明らかにすることである。より適切な助言のあり方を,生理学データから解明し,教育現場へ還元することを企図している。1年目の今年度は,学習者が「自習」を行う条件下での脈拍や呼吸などを計測する実験環境や実験課題の検討,また,比較分析のための脳活動や視線との同時計測による基礎データの取得を行った。 具体的には,3種類の難度レベルの乗法・除法暗算(珠算暗算検定2級レベル,3級レベル,4級以下レベル:それぞれ乗法10問,除法10問)を実験課題に設定し,「暗算有段者」と「非有段者(珠算暗算未経験者)」を対象にデータ取得実験を行った。 実験の結果,暗算有段者は,2級レベルの問題でやや緊張が高まる程度で,いずれのレベルの問題も難なく解答した。ただし,解答直後に自身の間違いに気付いた問題では,脈拍の増加が見られた。一方,非有段者は,4級以下レベルは全問解答できたものの,3級レベルは半分程度のみの解答となる被験者もおり,2級レベルはほとんどの被験者が解答できなかった。3級レベルは,脈拍の増加が見られたが,2級レベルは途中から被験者が解答を諦めるため,脈拍は安静時に近い状況となった。 有段者が間違いに気付いた際の変化,非有段者が解答を諦めた際の変化には情意面が大きく関与していると考えられる。これらを来年度の実験における「助言内容」の設定につなげていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
生理学データ取得のための計測機器(バイタルモニターProComp,Thought Technology Ltd.製)を購入した。 助言が学習者の情意面に及ぼす影響の生理学的検討に向け,今年度は基礎的なデータ取得として,算数・数学問題に取り組む学習者(自学自習形態)の脈拍・呼吸などの測定を始めた。
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今後の研究の推進方策 |
2016年度の実験により取得した自学自習時の生理学データをもとにしながら,2017年度以降は指導者からの助言が,学習者に及ぼす情意面の影響を生理学的に明らかにしていく。2017年度は,指導者からの学習を促進させる助言(正の助言)条件下でのデータの取得・分析を行い,2018年度は,指導者からの注意喚起を促す助言(負の助言)条件下でのデータの取得・分析を実施予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
大学の業務により,参加を考えていた国際会議への出席が叶わなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
国際会議への参加・出張費に使用する。
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