研究課題/領域番号 |
16K13618
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
竹延 大志 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (70343035)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | マイクロ・ナノデバイス / 物性実験 / 分子性固体 / 複合材料・物性 |
研究実績の概要 |
本研究は、バレートロニクスの舞台として注目されるⅥ属遷移金属ダイカルコゲナイド(MX2, M = Mo, W, X = S, Se)大面積単層膜を用いた新奇物理現象の探索と機能性素子実現に挑戦する。本申請前の段階で、応募者らは世界に先駆けて大面積なMX2単層膜の成長と、電解質を用いた電気二重層トランジスタ(EDLT)作製に成功した。本研究では、応募者らにノウハウが蓄積されたこの絶好の機会を逃すことなく、大面積試料と電気二重層の組み合わせにより初めて実現可能な、①電界効果誘起超伝導、②高輝度・円偏光発光素子、③Valley機能に起因するゼーベック効果、の三機能実現を目指している。 平成28年度の研究実績は具体的に以下である。 ①電界効果誘起超伝導:初年度は新たに2K以下の測定を可能にする冷却装置の立ち上げと冷却装置内でのEDLT駆動を目標とし、これを達成した。その上で、次年度の目標であった0.4Kまでの金属伝導を大面積膜としては世界で初めて成功し、前倒しで目標を達成している。 ②高輝度・円偏光発光素子:初年度は多結晶MX2単層膜を用いて有機材料以外での初めての電気化学発光セル作製を目標とし、これを達成した。その上で、次年度の目標であったパルス駆動や大電流・高輝度駆動にも成功し、前倒しで目標を達成している。 ③Valley機能に起因するゼーベック効果:初年度は、大面積多結晶MX2単層膜を用いたEDLTを作製し、フェルミレベルを大幅に変化させながらゼーベック効果の観測を目標とし、これを達成した。その上で、次年度の目標であった真空・低温下での測定装置開発を前倒しで進めた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究は、大面積試料と電気二重層の組み合わせにより初めて実現可能な、①電界効果誘起超伝導、②高輝度・円偏光発光素子、③Valley機能に起因するゼーベック効果、の三機能実現を目指している。平成28年度においては、以下のように全ての研究項目において当初の目標を達成するだけでなく計画の前倒しに成功している。 ①電界効果誘起超伝導:当初の目標を達成しつつ、次年度の目標であった0.4Kまでの金属伝導を大面積膜としては世界で初めて成功し、前倒しで目標を達成している。 ②高輝度・円偏光発光素子:当初の目標を達成しつつ、次年度の目標であったパルス駆動や大電流・高輝度駆動にも成功し、前倒しで目標を達成している。 ③Valley機能に起因するゼーベック効果:当初の目標を達成しつつ、次年度の目標であった真空・低温下での測定装置開発を前倒しで進めた。 よって、当初の計画以上に進展しており、今後も大きな成果が期待される。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究は、バレートロニクスの舞台として注目されるⅥ属遷移金属ダイカルコゲナイド(MX2, M = Mo, W, X = S, Se)大面積単層膜を用いた新奇物理現象の探索と機能性素子実現に挑戦する。本申請前の段階で、応募者らは世界に先駆けて大面積なMX2単層膜の成長と、電解質を用いた電気二重層トランジスタ(EDLT)作製に成功した。本研究では、応募者らにノウハウが蓄積されたこの絶好の機会を逃すことなく、大面積試料と電気二重層の組み合わせにより初めて実現可能な、①電界効果誘起超伝導、②高輝度・円偏光発光素子、③Valley機能に起因するゼーベック効果、の三機能実現を目指している。 平成29年度は、平成28年度の成果を基に以下のように研究を推進。 ①電界効果誘起超伝導:平成28年度中に0.4Kまでの金属伝導を大面積膜としては世界で初めて成功している。今年度は、電解質の最適化や電圧印可方法の改善により超電導転移を目指す。 ②高輝度・円偏光発光素子:平成28年度中にパルス駆動や大電流・高輝度駆動に成功している。今年度は、材料を単結晶膜まで広げ高輝度・円偏光発光素子実現を目指す。 ③Valley機能に起因するゼーベック効果:平成28年度中に真空・低温下での測定装置開発を前倒しで進めており、継続して装置開発を行う。その上で、Valley機能に起因するゼーベック効果を探索する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
適切かつ計画的に使用したが、年度末の値引き等により少額の差異が発生した。
|
次年度使用額の使用計画 |
今年度の予算と合算し、旅費の一部として使用する。
|