TiO2(110)単結晶基板を擬似体液に浸漬させ、リン酸カルシウム(CaP)の析出を精査した。超高真空中で作製したTiO2(110)-(1×1)表面には、CaPは析出しなかった。吸着リン酸イオンの(2×1)周期配列とCaHPO4結晶中のリン酸イオンの格子不整合が大きいためである。一方、大気中で加熱したTiO2(110)表面は非晶質であり、さらにO2中で加熱すると(1×1)構造になることを見出した。大気加熱表面ではCaPが生成したが、O2中で加熱した表面ではCaPの生成が抑制された。結果は、TiO2表面におけるCaPの析出が表面のナノ構造に依存し、加熱処理雰囲気で制御できることを示す。
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