高エネルギー分解能電子エネルギー損失分光法(EELS)と走査型透過電子顕微鏡(STEM)を併用することにより、有機材料に対して電子線照射損傷を低減したスペクトルの計測に成功した。特に、試料に直接電子線を照射することなくスペクトルが計測できるアルーフビーム法では、赤外から紫外光領域の吸収スペクトルが、ほぼ無損傷で計測できるようになった。 有機結晶から測定された炭素K殻吸収端の微細構造に対して、第一原理バンド計算によるスペクトルシミュレーションを行い、両者は非常に良く一致した。これにより、有機分子の状態分析にとって重要な新しい知見を得ることができた。
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