銀ナノ粒子の抗微生物機構の解明に向けて、材料学的解析法を利用してアプローチした。抗微生物試験環境における銀化学状態の変化を検討する為、含硫黄物質であるシステイン、メチオニン、グルタチオンを模擬物質として、XANES解析を利用した検討を行った。その結果、高濃度の含硫黄物質との混合により、銀ナノ粒子の化学状態が金属状態から変化し硫黄と結合した状態となることが明らかとなった。この化学状態の変化が、使用環境により抗微生物性が失活する要因であることが強く示唆された。モデル菌種として大腸菌を用い、抗菌処理された菌のSEM観察を行った。その結果、銀ナノ粒子の作用機構は膜破壊ではないことが明らかとなった。
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