我々は、メチル基やエチル基がインターカレートした層状ゲルマナン(GeCH3、GeEt)を超音波分散によりハロゲン系溶媒に高濃度で安定に分散できることを見出した。GeCH3やGeEtは、CaGe2とヨードメタンやヨードエタンをアセトニトリル中、室温下で1週間以上撹拌した後、沈殿物を濾過し、アセトンで洗浄し、減圧乾燥することにより得られた。得られた化合物は、X線回折パターン、FT-IRおよびラマンスペクトルからメチル基やエチル基が層状ゲルマニウム化合物の層間にインターカレートされていることを確認した。ハロゲン系溶媒にGeCH3やGeEt粉末を加えて、ホーンタイプの超音波分散機を用いて超音波を照射した所、1mg/ml以上の分散液が得られることが分かった。得られた分散液は、空気中で長期間、安定に存在し、365nmの光を照射することにより赤色発光を示すことも明らかにした。得られたGeCH3やGeEt分散液からウエットプロセスによるキャスト法を用いてガラス基板上に作製した薄膜のSEM像から、分散液が数μサイズの層状化合物から作製されていることが分かった。次に、GeCH3やGeEt分散液から電界発光(EL)素子を作製した。ガラス/PEDO:PSS/GeCH3あるいはGeEt/Al (100 nm)のEL素子構造を作製し、電流・電圧・輝度特性を評価した。GeEtのEL素子では、12Vで駆動して、14Vで0.4 cd/m2の輝度が観測された。GeCH3とGeEtのELスペクトルは、それぞれのキャスト膜の発光スペクトルと異なっており、GeEtのELスペクトルはGeCH3のELスペクトルより長波長に観測された。
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