研究課題/領域番号 |
16K13636
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
吉本 護 東京工業大学, 物質理工学院, 教授 (20174998)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ナノインプリント / ポリマー基板 / 原子ステップ / ポリイミド / サファイアモールド / 金ナノ粒子 / ナノコンタクトプリント / 超平坦基板 |
研究実績の概要 |
「単原子層ステップを持つ有機系ナノパターン基板の作製と新規ナノ構造の創製」と題した本研究は、高耐熱ポリイミド樹脂などの有機系ポリマー基板表面上に、1nm以下の単原子層(約0.3nm)高さの周期的ステップ構造を熱ナノインプリント加工して、シリコンやサファイア単結晶並みの超平坦な有機基板を作製し、その上での特異な有機や無機系材料、さらに金属のナノ構造構築と機能創製をめざしたものである。 ミクロンサイズの高分子モノマーよりもサイズが小さい原子パターンを形成するという、世界でも類を見ない挑戦的なものであり、新規な有機基板上機能材料の創製と機能化を追求している。従来のポリマー基板は、熱安定性や表面平坦性が悪いという欠点があったが、本研究では、約500℃耐熱の原子ステップ超平坦有機基板を創製し、それを使った新規なナノ構造構築を探求している。 本年度では、耐熱ポリマー基板材料として、市販のポリイミド基板(カプトンシートなど)、およびPMMAアクリルシート基板などを使い、表面への原子レベル周期的パターンを転写する鋳型として、単結晶性セラミックス固体(サファイア単結晶基板など)の単原子ステップパターン鋳型(Appl. Phys. Lett., Vol.67 (1995) 2615)を使用した。ナノパターン鋳型をポリマー膜上に押し付け、既存の真空対応熱ナノインプリント装置にセットし、ポリマー膜のガラス転移温度(200℃~500℃)付近で加熱しながら、一軸圧縮圧力(~数MPa)を数分間印加した後、除圧・冷却した。その結果、約0.3nm高さの直線状原子ステップ配列がポリイミド基板上に転写することに成功した。 さらに原子レベルでナノインプリント加工された単原子層ステップ超平坦有機系基板の上に、金ナノ粒子の配列をナノコンタクトプリント法により、形成することにも成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究は当初の想定通りにほぼ進展している。これまでの同グループ内で培われた類似研究成果をベースにして、国内外の研究情報の収集にも力を注ぎ、学会発表や論文発表などでその成果をアピールしている。
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今後の研究の推進方策 |
当該研究は、当初の想定通りにほぼ進展しているので、今後も、昨年度と同様に、同グループ内で培われた類似研究成果をベースにして、国内外の研究情報の収集により一層力を注ぎ、学会発表や論文発表などでその成果を大いにアピールしたいと考えている。また産学連携も視野に入れて、応用研究にも展開を図って行く予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究自体は順調に進展しているが、実験に使用する消耗品等の購入が、想定以下に推移したために、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度では、想定以上のより多くの成果を達成すべく、実験遂行をより加速して研究を進めることで、研究費目毎の使用を適切に実行する予定である。
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