本研究では、単分子レベルの超高感度ナノ分光技術開拓に向けて、ナノスケールで構造を精密制御したギャップ素子からなる表面増強ラマン散乱(SERS)素子の作製技術を開発する。はじめに、デバイス作製プロセスを確立し、蛍光分子のSERS増強度の観察から、構造の有効性を明らかにした。次に電極材料として柔軟性に優れた多層グラフェン薄膜に着目し、SERS素子への応用について検討した。活性ガス雰囲気での1000℃を越える高温加熱法により、高結晶性多層グラフェン薄膜の合成に成功した。本成果は合成した薄膜がSERS素子の電極として有望であることを示している。現在、SERSプロセスへの適合性について検討を進めている。
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