研究課題/領域番号 |
16K13648
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
金森 義明 東北大学, 工学研究科, 准教授 (10333858)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | メタマテリアル / マイクロ・ナノデバイス |
研究実績の概要 |
メタマテリアルは、金属サブ波長構造を単位素子とした人工光学材料であり、フォトニック結晶よりも小さなナノ光共振器を実現し、プラズモニック共振器よりも設計自由度が高い。局在表面プラズモン共鳴が生じる共振波長はメタマテリアルの微小な構造変形によって大きく変化する。この特徴からメタマテリアルは、可変光フィルタとしてセンサやディスプレイ、光通信分野などへ応用が期待される。本研究では、機械的に構造変形するメタマテリアルの構造変形を伝達関数とし、入力を外力、出力を局在フォトンモードとする物理量トランスデューサを構築し、各物理量に適した伝達関数の設計や応答特性を明らかにする。 本年度はエアギャップ構造を持つ可変メタマテリアルの設計を行い、エアギャップの変化により反射率の制御が可能であることを検討した。また、ナノドットアレイ構造の製作を行い、反射率特性を評価した。 提案するメタマテリアルは A u のナノドットアレイで構成されている。別の基板を用いてエアギャップを持つように配置する。エアギャップが存在する状態をOFF状態、エアギャップが0 nmに近い状態をON状態とし、ON / OFFでの光学特性を変化させる。エアギャップ0~1000nmの範囲での入射光に対する反射率をRCWA (Rigorous Coupled -Wave Analysis) 法によりシミュレーションを行った。共振波長において、ON / OFF状態で80%程反射率が変化することを確認した。ナノドットアレイの製作工程は、SiO2基板上にAu、SiO2、Crをスパッタリングで成膜する。次に、電子線描画を用いてレジストをパターニングし、ドライエッチングを行う。ナノドットアレイと別基板を、エアギャップを持って重ねた状態で外力を加え、ON / OFF 状態での反射率の測定を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
製作したナノドットアレイのSEM (Scanning Electron Microscope) 画像観察から、構造の側面がテーパー状になることもなく、十分な精度でナノドットアレイを製作することができている。また、光学特性評価により、ON状態では波長1210 nm付近で共振が起き、反射率のディップが生じていることが確認でき、ON / OFF状態で光学特性が大きく異なることが確認できた。以上のことから、デバイスの基本構造部の製作まで行い、光学特性評価から構造変形による反射率変化を確認することにも成功しており、おおむね順調に進んでいると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、応用を見据えて、それに適した金属微小構造、エアギャップ構造それぞれの設計・製作を行う。また、本デバイスに適した測定システムを構築し、精度よく、外力―構造変化量―光学特性変調量の関係を評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 年度を通してデバイスを繰り返し製作して完成度を高めていくが、スパッタ成膜装置の不調により想定よりも製作繰り返し回数が少なかったため、製作に関わる実支出が少なかった。 (使用計画) 当初の次年度使用計画に加えて、デバイス製作に関する消耗品費として使用する。また、測定評価システムを構築するために使用する。
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