研究課題
前年度、電子顕微鏡観察下における有機薄膜トランジスタの曲げ試験で問題となった電子線の素子への影響とリーク電流問題の改善を踏まえた実験に取組み、曲げにおける引張下のトランジスタの性能劣化と素子損傷の関係を調査した。またフレキシブルエレクトロニクスデバイスの新規曲げ疲労試験手法を開発して、銀ナノ粒子インク配線の性能劣化挙動特性評価への適用を試み、以下の研究成果を得た。1) 低加速電圧のSEM観察と素子の低電圧駆動により、電子線やリーク電流の影響を極力抑えた状態で有機トランジスタの電子顕微鏡観察下の曲げ試験を達成した。曲げにおける引張下のトランジスタは、ひずみ3%で半導体ドメイン内部に亀裂が生じ始め、7%で多数の亀裂が存在することを確認した。ひずみの増大とともに電流値は単調に減少する傾向を示し、ひずみ7%で電流値は初期の1%程度まで低下し、オンオフ比2桁程度のスイッチング挙動を示すことが明らかとなった。2) 合掌型曲げ試験(2つの剛な壁面の間に試料を設置して、一方の壁面を他方に近づけ試験片全体に曲げ変形を加える)を拡張して、面間距離・繰返し曲げ回数・デバイス性能を評価軸にデバイスの性能低下特性を3次元曲面として視覚化する新規曲げ疲労試験手法を開発した。PENフィルム上に描かれた銀ナノ粒子インク配線を試験片として本手法を適用し、配線の性能(コンダクタンス)低下曲面を実験的に取得表示できることを確認した。
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