極域の海に生息する魚類由来のタイプIII型の不凍タンパク質(AFP-III),および海氷中に生息する藻類由来の不凍タンパク質(fc-AFP)を,それぞれ化学修飾および遺伝子操作によって蛍光ラベル化した.そして,レーザー共焦点蛍光顕微鏡およびマッハ・ツェンダー光干渉計を用いて,不凍タンパク質が氷結晶表面に吸着する挙動と、氷結晶の成長に及ぼす効果を調べた.その結果,前者は氷結晶のプリズム面に特異的に吸着するがベーサル面には吸着しないこと,後者はプリズム面とベーサル面の両方に吸着することを見出した.この結果は,氷結晶のc軸方向の成長を,前者は促進し,後者は抑制することを矛盾無く説明できる.
|