研究課題
本研究では申請者が開発した超高真空・極低温・強磁場下の走査トンネルポテンショメトリ (STP)測定手法により、超伝導表面における電位分布をマッピングし、最終的には表面・極薄超伝導体の高い臨界電流の起源を解明することを目的とした。まず、これまで高温超伝導体であると報告されていた単一ユニットセルのFeSe薄膜の試料作成に成功し、それが5Kにおいて13meV程度の超伝導ギャップを示すことを走査トンネル顕微鏡/分光法(STM/STS)により示した。このような試料に対してSTP測定を試みたが、装置の不調(プローブ及び回路の破損)により測定が年度内にうまくできなかった。しかし、作成条件を少し変えることで欠陥の多い試料や局所電子状態が異なっている領域が存在する試料が作成可能なことを明らかにできた。このような試料に対してSTS測定を行ったところ、超伝導特性(超伝導ギャップの大きさおよびギャップ関数の形状)が高品質で均一な試料とは明らかに異なっていることが分かった。また意図的に不純物を添加していないにも関わらず、超伝導ギャップを示さない局所領域があることが分かった。これらをこれまで文献で報告されている事実と比較したが、構造の同定や超伝導を示さない起源などの詳細は解明できなかった。今後このように意図的に不純物を添加していないにも関わらず超伝導ギャップが見られない試料に対して高分解能STP測定を行うことで、本来の目的を達成できると期待できる。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (18件) (うち国際学会 5件、 招待講演 5件)
Applied Surface Science
巻: 398 ページ: 125-129
http://dx.doi.org/10.1016/j.apsusc.2016.11.196
e-Journal of Surface Science and Nanotechnology
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