研究課題
1)RF電子銃に照射するレーザーのスポットサイズとRF空洞の加速位相の最適化を行い、今まで最高輝度の2 × 10^10 e-/mm^2mrad^2の相対論的フェムト秒電子線パルスの発生に成功した。この電子線パルスを用いて、目標であるフェムト秒時間分解構造変化測定を適した「フェムト秒電子線結晶構造解析法」を開発した。実証実験では、単一電子線パルス(シングルショット)による金と合成フッ素マイカ単結晶の電子回折図形の観測に成功し、タンパク質や生体超分子複合体の結晶構造解析可能な0.02 A^(-1)の高空間分解能を実現した。2)金やマイカ単結晶サンプルを用いて、フェムト秒短パルス電子線回折図形の明瞭さと電子線エネルギー、電子線パルス数の依存性を明らかにし、エネルギーが1~4.5 MeVの広い範囲でのフェムト秒電子線パルスを用いた超高速電子線回折測定可能な装置を開発した。この測定技術と実験装置は、構造解析と構造ダイナミクスの測定だけではなく、金属酸化物、有機高分子、タンパク質などの様々な物質における電子照射による損傷や自己修復メカニズムの研究にも大きく貢献する。3)ニワトリ卵白リゾチーム蛋白質結晶を製作し、開発したフェムト秒電子線結晶構造解析装置を通して、エネルギーが2 MeVのフェムト秒電子線パルスを用いた電子回折図形の測定を試みた。タンパク質結晶の格子定数が高いため電子回折図形の拡大や分解能の向上などの課題が残されているが、これまでの装置開発と実証実験の結果により、相対論的フェムト秒電子線パルスを用いて損傷の影響を回避できる、重要な生命機能を担うタンパク質や生体超分子複合体の構造解析が実現可能であることを示唆している。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (32件) (うち国際学会 11件、 招待講演 8件) 備考 (1件)
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