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2016 年度 実施状況報告書

収差補正電子顕微鏡の焦点位置スキャンによるナノ構造および原子の三次元計測法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 16K13688
研究機関大阪大学

研究代表者

山崎 順  大阪大学, 超高圧電子顕微鏡センター, 准教授 (40335071)

研究分担者 田中 信夫  名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 研究員 (40126876)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワード三次元観察 / 収差補正TEM / 焦点位置スキャン / 結晶格子縞 / ナノ粒子 / 動画計測
研究実績の概要

初年度は、1)計測精度と計測効率を改善するデータ記録方式の開発、2)計測結果を明示的かつ定量的に表すことのできるデータ処理方式の開発、3)ナノ粒子分散試料を用いた手法有効性の検証、に取り組んだ。
1)に関して、従来からある一般的なスルーフォーカス撮影、すなわち対物レンズ焦点位置を1nmずつ変えた像を20枚程度撮影する焦点位置スキャンシリーズではなく、ピエゾ駆動機構を用いた試料位置の連続変化による焦点位置スキャンシリーズを動画として記録する方式の開発に取り組んだ。記録した動画を分割した静止画の解析から、CCDカメラの画像記録ピクセル数と読み出し速度の関係、ピエゾ素子駆動のステップ間隔時間を計測し、その結果と像のS/N比(ビーム強度)や視野範囲(電子顕微鏡像の倍率)も踏まえた最適観察条件を割り出すことに成功した。これによって電子線照射ダメージを極力抑えるための観察時間の短縮に成功した。2)に関して、これまでは結晶格子縞の主観的な可視性に基づく計測であったが、像のフーリエ変換にフィルタリング処理を施す方式を開発することにより、客観的かつ定量的な格子像強度の計測を可能とした。3)に関して、アモルファスカーボン、カーボンナノチューブ、カーボンブラックの3種類の担持体に付着した触媒ナノ粒子の計測を行った。それぞれの担持体の電子線照射ダメージ耐性に応じて加速電圧の調整なども行い、ナノ粒子の三次元分布を計測した初期データを得ることに成功した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

申請書に記載した28年度の研究計画を7割方遂行することができている。これによって定量性のある結果を得るための実験条件とデータ処理手順を確立することに成功し、本課題研究での開発を掲げている新たな3次元観察法の確立に向けた見通しを開くことに成功した。一方、結像理論とシミュレーションに基づく動力学回折効果の検証は途中段階であり、次年度に持ち越しとなっている。

今後の研究の推進方策

28年度に達成できなかった計画の遂行に加え、29年度計画として挙げてある界面ラフネスの計測、膜中包埋ナノ粒子の計測に取り組み、グラフェンと単原子の観察にも取り組む。

次年度使用額が生じた理由

当初予定していた電気炉の購入に関して、所属組織に設置済みの別の装置を少し改造しての使用が可能と判明した。また予定していた連携研究者の研究施設(北海道大学)での実験を行うための試料がうまく作製できておらず、旅費を次年度送りとした。

次年度使用額の使用計画

前年度保留とした出張実験の旅費に予算を充てる。また別の連携研究者の研究施設(名古屋大学)での実験回数を増やし、データ取得を加速させる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件)

  • [雑誌論文] 結像系収差補正電子顕微鏡(収差補正TEM)を駆使した微細構造解析手法の進展2017

    • 著者名/発表者名
      山﨑 順
    • 雑誌名

      触媒

      巻: 59 ページ: 82-88

    • 査読あり / 謝辞記載あり

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公開日: 2018-01-16  

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