本研究は、電磁波と電子波の、物質との角運動量の相互作用における等価性、について実験的に明らかにすることを目的としている。透過電子顕微鏡法と電子エネルギー損失分光法(EELS)を基軸として、必要な理論や解析手法の確立を目指している。H30年度は、計測プローブである電子ビームに角運動量を持たせることで対象材料との角運動量相互作用の検出を可能にする目的で、軌道角運動量を持つ電子ビームを発生するための、スリット作製と透過電子顕微鏡へのスリット取り付けを行った。その後、スリットを通過した電子波が作る干渉パターンを取得し、先行研究と同様に、ドーナツ状の強度分布を持つスポットが一列に並ぶパターンを実計測で得られることを確認した。これは軌道角運動量を持つ電子ビームができていることを示唆し、ようやく計測プローブ側を準備することができた。
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