本研究では、様々な形状を有するカーボン被覆ナノ微粒子の直流アーク放電プラズマ合成技術の開発とその生成メカニズムの物理的解明を行うとともに、ナノカーボン微粒子の分子吸着特性およびセシウム等の金属イオン等の吸着効果を実験的に明らかにすることを目的として実験を行った。初年度では、主に中空ナノ構造を有するナノカーボン材料の作製および合成メカニズムを明らかにするとともに、セシウムイオンの吸着除去に関する研究を行った。最終年度では、それらの研究成果を発展させ、グラファイト層で被覆された各種形状の金属ナノ微粒子の合成及び構造制御、液中銅イオンの吸着技術および有機色素分子の脱色反応などに関する研究を実施した。主な成果は以下の通りである。 1.ワンステップ直流アーク放電法によるアミノ基修飾ナノ微粒子の作製と生成メカニズムの解明:背景ガスとしてヘリウムガスにアンモニアガスを微量添加することで、NHあるいはNH2分子を修飾したカーボン被覆金属ナノ微粒子のワンステップ合成に成功し、その合成メカニズムを明らかにした。 2.アミノ基修飾金ナノ微粒子を用いた液中銅イオンの高感度検出:金をコア金属として用いたアミノ基修飾カーボン被覆金ナノ微粒子の作製を行い、表面プラズモン効果を利用した液中銅イオンの選択的高感度検出に関する成果を報告した。 3.カーボン被覆銅ナノ構造材料の合成と金属イオン検出および有機分子分解:コア金属として銅を用いたアーク放電実験において、背景ガスのアンモニアガスの添加率を変化することにより、ナノ球構造からナノワイヤ構造に変化することを明らかにした。アンモニア100%添加において作製したカーボン被覆銅ナノワイヤが有機物の吸着分解反応に優れた触媒効果を持つことを明らかにした。 4.研究成果の発表:研究成果は、査読付き英文学術論文に3編、国内学協会誌に1編、国際会議、国内学会に12件発表を行った。
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