研究課題/領域番号 |
16K13710
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
豊田 浩孝 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (70207653)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | プラズマ液体相互作用 / マイクロ波プラズマ / 廃棄物処理 |
研究実績の概要 |
本研究代表者は、これまでに高密度マイクロ波を用いたプラズマ生成と有機物液体処理への応用について研究を進めてきた。その中で液体流を極限まで高流速化することにより、プラズマ液体相互作用の基礎過程を明らかにする新たな研究手法が実現できるのではないか、という着想に至った。具体的には、(1) OH反応蛍光試薬を加えた水を用い上記装置を超高速で通過させることにより(2) OH反応の時間的変化を空間変化に反映させ、(3) 蛍光発光空間分布を計測することによりOHの反応過程を可視化するという着想に至った。 本研究においては、上記着想による新たな実験手法実現のための指針を得るとともに、本手法を用いたOHラジカルの液中での反応過程に関する知見を得ることを目的とする。 本年度は本研究代表者がもつ液体流中でプラズマ処理が可能なマイクロ波水処理装置を改良し、狭隘流路の一部に石英窓ガラスを配置し、そこに紫外光ランプ光源からの光を平行光として導き流路内を透過させ、円筒レンズを用いることでこれをさらに分光器の入射スリット上に集光投影させることにより、スリット上の位置を液体流路方向の位置に対応させる光学系を構築した。さらに分光器の検出器にCCDカメラを用いることにより、横軸を波長、縦軸を空間位置とする1次元空間分解光吸収分光装置の立ち上げをおこなった。その結果、空間位置2cmの範囲を分光器を用いて空間分解する能力を有することを確認した。さらに、基礎実験としてメチレンブルー水溶液をマイクロ波液体処理装置により循環処理している際のメチレンブルー濃度の空間変化を時間を追いながら測定する実験を行ったところ、処理領域から下流側に離れるにしたがってメチレンブルー濃度が減少する空間的なメチレンブルー濃度の変化とともに、処理時間とともにメチレンブルー濃度が次第に全体的に減少する傾向も確認することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は本研究代表者がもつ液体流中でプラズマ処理が可能なマイクロ波水処理装置を改良し、狭隘流路の一部に石英窓ガラスを配置し、そこに紫外光ランプ光源からの光を平行光として導き流路内を透過させ、円筒レンズを用いることでこれをさらに分光器の入射スリット上に集光投影させることにより、スリット上の位置を液体流路方向の位置に対応させる光学系を構築した。さらに分光器の検出器にCCDカメラを用いることにより、横軸を波長、縦軸を空間位置とする1次元空間分解光吸収分光装置の立ち上げをおこなった。その結果、空間位置2cmの範囲を分光器を用いて空間分解する能力を有することを確認した。以上のことから、先ず第1段階としての計測系の構築に成功した。 さらに、基礎実験としてメチレンブルー水溶液をマイクロ波液体処理装置により循環処理している際のメチレンブルー濃度の空間変化を時間を追いながら測定する実験を行ったところ、処理領域から下流側に離れるにしたがってメチレンブルー濃度が減少する空間的なメチレンブルー濃度の変化とともに、処理時間とともにメチレンブルー濃度が次第に全体的に減少する傾向も確認することができた。 現段階ではまだOHラジカルの吸収分光計測に至っていないが、メチレンブルーの分解測定においては当初予想されるような結果が得られている。このことから本測定装置によるOHラジカル吸収分光計測の見通しも明るいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでのところ、第1段階としての計測系の構築に成功するとともに、基礎実験としてメチレンブルー水溶液をマイクロ波液体処理装置により循環処理している際のメチレンブルー濃度の空間変化を時間を追いながら測定する実験を行ない、メチレンブルー濃度の空間的な濃度の変化とともに、メチレンブルー濃度の時間的変化も確認することに成功した。 今後はOHラジカルの吸収分光に着手する。当初の研究計画においてはOHラジカルを検出するための蛍光色素を利用することを考えていた。しかし、最近になり紫外領域(200nm近傍)における水中OHラジカル検出の報告がなされている。この方法では蛍光色素を用いる等プラズマの影響を受ける可能性のある添加物質を使用することなくOHラジカルの検出が可能となる。そこで今後のOHラジカルの計測研究の実施においては、紫外吸収分光法によるOHラジカル検出を試みる。その際、メチレンブルー分解計測での測定と同様、液体中の気泡形成が吸収分光に影響を与えることも考慮し、これを較正した計測を実施していく予定である。
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