研究課題
本研究は、高エネルギーイオン注入技術を利用し、「任意方法で秘匿情報を固体素子内に記録する媒体」、つまり、固体秘匿情報記録媒体の開発を目的とする。量子科学技術研究開発機構 高崎量子応用研究所に設置されたシングルエンド加速器並びにタンデム加速器の集束イオンビームラインを利用して実験を行った。高エネルギーイオンビームの制御ソフトウェアに2次元的な情報配列を関連付け、情報配列に沿った照射を可能とした。本技術を活用し、具体的に、単結晶ダイヤモンドならびにSiC, さらには蛍光活性中心を含むリン酸塩ガラス、蛍石といった鉱物試料を主な試験対象として、その表面及び内部にあらかじめ決定した空間的な情報配列に沿ってイオン注入処理層の形成を行った。ダイヤモンドにおいては、特に照射ビームとしてGR1センターを形成する陽子線およびN-Vセンターを形成できる窒素について収束ビームを形成し利用した任意の箇所にイオン注入処理を実施した。この方式により、シャドウマスクを必要としない任意構造の照射が可能となった。。その打ち込み空間の分布を制御しながら注入処理を行うことで、一見すると外部から取り出せない情報配列を基板内に埋め込むことが可能であった。本処理を行った試料のうち、ダイヤモンドでは1000℃の加熱処理により、陽子線照射試料においても2次元的な情報配列の視認が共焦点顕微鏡設備を利用することで確認できた。またダイヤモンド以外の試料では照射後の加熱処理を経ずに記録情報を参照することが可能であった。これにより復号方法を知る観察者のみに情報を映し出す秘匿埋め込み型の情報記録素子の基礎が実現された。
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Key Engineering Materials
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