研究課題/領域番号 |
16K13724
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
紀井 俊輝 京都大学, エネルギー理工学研究所, 准教授 (30314280)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ベクトルポテンシャル |
研究実績の概要 |
本研究はベクトルポテンシャルと電子ボルテックスビームの基本的な相互作用を調査し、相互作用の有無(もしくは上限)を決めることを目標としている。電子ボルテックスビームの進行方向と平行なベクトルポテンシャルを生成するために、電子ビーム軌道上に磁場を発生させることなくベクトルポテンシャルのみが存在する状態を生成することが重要となる。そこで、ベクトルポテンシャル生成コイルとして複数のトロイダルコイルを試作し相互作用探索実験に適したベクトルポテンシャル生成コイルの検討を行った。シンプルな構成かつ磁場成分の打ち消しが比較的容易である2組のトロイダルの配置をヘルムホルツコイル型配置することで、中心軸上にベクトルポテンシャルを生成する方式を採用した。 本研究を遂行する上で漏洩磁場による電磁相互作用の影響を排除する必要があるため、試作コイルによりシングルループ成分の補正方法の検討を行った。トロイダル中心に単巻きコイルを設置する手法および2重巻きの2通りについて検討を行った。それぞれについて漏洩磁場分布の評価を行い、本研究ではよりシングルループ成分の除去特性が高い2重巻きの手法を採用することとした。その結果2重巻きトロイダルコイルの中心部では漏洩磁束が十分小さな値になることを確認した。また、コイルの巻き方を工夫したうえでも完全には打ち消せない磁場の影響をより小さくするために磁気遮蔽の追加についても検討を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに、直径10cmの小型レプリカを用い複数のコイル試作を行い巻き線密度の確認や、シングルループ磁場成分の除去のための巻き方の検討および巻き線テストを行った。その結果シングルループ磁場成分をキャンセルしかつ均一な巻き線密度を実現するために3Dプリンタでコイル用の溝を精密に生成しトロイダル内に均一な磁場を生成できるようにした。漏洩磁束の分布評価のためのホール素子の整備も完了した。 最終年度に計画している相互作用調査に必要なコイルの準備が完了し、研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
3Dプリンタを用い出力した非磁性コアを用いたトロイダルコイルの位置調整、電流調整、静電電位の調整等を進め、実際の電子線ビームを用いて相互作用の調査実験を進める。また、その結果に基づきベクトルポテンシャルとの相互作用についての知見を深め、今後の研究方針を明確にすることで研究総括を行う。
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