研究課題/領域番号 |
16K13727
|
研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
石岡 典子 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 放射線生物応用研究部, 上席研究員(定常) (30354963)
|
研究分担者 |
渡辺 茂樹 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 放射線生物応用研究部, 主幹研究員(定常) (10450305)
近藤 浩夫 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 六ヶ所核融合研究所 核融合炉材料研究開発部, 主幹研究員(定常) (40403159)
金村 卓治 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 六ヶ所核融合研究所 核融合炉材料研究開発部, 研究員(定常) (50751468) [辞退]
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | アスタチン‐211 / 液体ビスマス / 循環式標的 / 大量製造 / がん治療 |
研究実績の概要 |
がん治療用アルファ核種、アスタチン-211は、体内に投与するがん治療薬として期待されているが、メーカーが提供する日常的な診療用放射性薬剤の原料供給をクリアする安定的で大規模なアスタチン-211製造技術の開発は、思うように進んでいない。これは、ビスマスをイオンビームで照射してアスタチン-211を生成させる際、照射時の発熱によりビスマスが溶融してしまうことが大きな原因である。そこで本研究では、がん治療用アスタチン-211の迅速・大量製造を可能にするために、現有する固体Biからアスタチン-211を取り出す技術と核融合分野で培われた液体金属標的技術を融合し、これまでの放射性同位体製造技術にはないRI製造のための新しい照射技術を確立させることを目指す。具体的には、循環式液体ビスマス標的をヘリウムイオンビームで照射しながら、生成するアスタチン-211を取り出す、アスタチン-211の大量製造法を考案、設計、実証する。今年度は、ビスマスの液状標的化に関し、現有サイクロトロンで検証可能な28 MeV、20 μAのヘリウムイオンビーム照射環境の設定および液体Bi標的システムの概念検討及び基礎設計を実施した。具体的には、将来的な施設像を基に、既存技術をレビューし、実現性の評価・研究を実施し、主軸となる方式を絞った。特に、液体ビスマス中のアスタチン-211の蒸発に関する評価、システムの熱設計計算、入射窓の材質・厚さ計算評価を実施した。さらに、この方式を次年度検証するための試験に向け、系統設計および装置構成を検討し、システムの全体構想を立てた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた目的を果たし、概念設計及び基本設計を完了した。
|
今後の研究の推進方策 |
H28年度の成果をもとに、液体ビスマス照射容器を製作し、基本性能の計測および特性を把握した後、ビスマスの液体化等、コールドランを実施し、安全性を確認する。この後、ヘリウムイオンビームを液体ビスマス照射容器に導入し、アスタチン‐211の生成量を定量し、システムを検証する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
循環式液体ビスマス標的の製作納期が次年度になるため。
|
次年度使用額の使用計画 |
循環式液体ビスマス標的の製作費用に用いる。
|