研究課題/領域番号 |
16K13731
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
阿部 仁 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 准教授 (00509937)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | XAFS / 非破壊分析 / 化学状態 / 食品科学 / Ca / UV-vis |
研究実績の概要 |
本研究課題では、旧来の食品科学に、X線吸収微細構造分光法(XAFS)による元素選択的な非破壊化学状態分析を持込み、「XAFSによる食品科学」という新たな学術領域の開拓に繋げることを目指している。特にCaに注目し、XAFSによる食品中のCaの化学状態分析を行い、人体吸収率の高いCaの化学状態・化合物の解明を進めている。 今年度は、液状試料の測定、XAFSと紫外可視分光法 (UV-vis)の同時測定(同軸測定)が可能な複合的実験環境の開発を行なった。 液状試料としては、牛乳、豆乳等を用いた。得られたスペクトルの特徴を標準Ca化合物のそれと比較し、詳細な検討を進めている。 XAFSと紫外可視分光法 (UV-vis)の同時測定(同軸測定)が可能な複合的実験環境の開発においては、XAFS測定環境にUv-vis測定環境を持ち込めるよう、設計と開発を行った。開発したXAFS&UV-vis複合測定環境は、特に液体試料の測定に威力を発揮する。液体状の食品として、例えば以下の2つの場合が考えられる。固体Ca化合物が液体中に分散している場合、あるいは何らかの配位子と錯形成したCa錯体として溶解している場合、である。このような液体試料の非破壊分析では、XAFSに加えて、同じ実験環境でUV-vis測定を行うことで研究をより深めることが出来ると期待される。 このXAFS&UV-vis複合測定環境は、当初計画通り、X線の入射方向と直交する方向でUV-vis 測定を行えるものとして開発した。予定通りの開発ではあったが、この測定条件をより柔軟にすることで測定の自由度、精度等が向上すると考えられる状況が浮かび上がってきた。そのため、今後の改良に向けた検討も行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画通り、XAFSと紫外可視分光法 (UV-vis)の同時測定(同軸測定)が可能な複合的実験環境の開発等を遂行できた。
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今後の研究の推進方策 |
XAFS&UV-vis複合測定環境の自由度を上げる改良を行うと共に、当初計画通り進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)現有機器の活用および当初見込みより低価格で機器を購入できたため。 (使用計画)測定環境の充実等に充てる。
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