研究課題/領域番号 |
16K13733
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研究機関 | 公益財団法人高輝度光科学研究センター |
研究代表者 |
室 隆桂之 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 利用研究促進部門, 主幹研究員 (50416385)
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研究分担者 |
水野 潤 早稲田大学, ナノ・ライフ創新研究機構, 上級研究員(研究院教授) (60386737)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 阻止電位型分析器 / Retarding field analyzer / RFA / 高エネルギー分解能 / 光電子回折 |
研究実績の概要 |
本研究では、光電子回折への適用を目的に、広い取込角と高いエネルギー分解能を有する二次元表示型の阻止電位型分析器(RFA:retarding field analyzer)の開発を目指している。3枚の球面グリッドから成るRFAの従来のエネルギー分解能は、E/ΔE≦100程度であった。これに対し我々は電子軌道計算により、高分解能化を可能とする電極配置を見出した。例えば、250メッシュの阻止電位グリッドを用いた場合、E/ΔE~3000が予想され、かつ、±45°以上の取込角が得られる。実際に製作したRFAでは、E/ΔE~1100が得られた。阻止電位グリッドに、メッシュではなく、多数の貫通穴を有するドーム型電極を用いることで更なる高分解能化が期待できる。H28年度では、実際にドーム型電極を用いた分解能評価実験を行った。ドーム型電極は機械加工により製作した。材質はチタンで、表面に金メッキを施した。実験の結果、E/ΔE~1800という更に高い値が得られた。実験値が理論値より低いのは、表面ポテンシャルの影響ではないかと考えられる。実際、阻止電位グリッドにグラファイト粒子のコーティングを行ったところ、分解能が改善する傾向が見られた。また、更なる高分解能の可能性を検証するために、製作が容易な平面グリッドのRFAによる実験も行ったところ、1500メッシュで3000を超える分解能が確認された。今後は、更なる高分解能化に向け、表面コーティングの方法を含めた球面グリッドの製作方法を開発する予定である。
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