本研究は,統計的不確定性と物理的不確定性を統合して,最適設計解を区間推定することを主要テーマとして取り組んだ, 28年度には,①「統計的不確定性の推定手法の開発」,②「複雑なシステム設計問題における信頼性に基づく最適設計法の定式化」を構築し,③「統計的不確定性と物理的不確定性を統合する指標の構築」することができた.29年度は,④「不確定性と最適設計解の信頼区間とのトレードオフ情報を見える化指標の構築」を行った.これはconservative reliability indexとして提案することができた.その成果は学術論文として,29年度内にオンライン版として掲載された.特に,これは従来の物理的不確定性を考慮する手法と同等な計算手順で求めることができる点,そして統計的不確定性の影響を設計解に関わらずに求めることができる点など,計画時に予想していた以上に効率的な指標であった.さらに,28年度の実績記述で追加した課題である「入力不確定性の確率分布が仮定できない場合」へと拡張する研究を行い,国内学会で発表した.論文投稿は30年度の課題として残ったが,十分な成果を得ることができた. 29年度は,最後に⑤「宇宙構造システムの複雑な問題に適用して提案手法の妥当性検証」を行った.これには,宇宙スマート構造として他の研究テーマで開発している変位拡大機構の振動試験を対象に取り組み,提案手法の妥当性を検証することができた. この研究を通して,物理的不確定性と統計的不確定性を統合した信頼性に基づく最適設計法をていあんすることができた.今後は,もう一つの不確定性要因であるモデル化不確定性をも統合するよう,研究を進める予定である.
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