研究実績の概要 |
大阪大学の大川新之介氏及び静岡大学の毛利出氏と共同で、Hirzebruch曲面の非可換変形のモジュライ空間に関する研究を行った。特に、Hirzebruch曲面の非可換変形をパラメトライズする3つの代数的スタックを導入し、それらが自然に双有理同値であることを示した。第1のスタックは射影直線上のVan den Berghの意味の階数2の局所自由層両側加群(locally free sheaf bimodule)のモジュライ空間であり、第2のスタックはAbdelgadir氏、大川氏と筆者の意味の箙の関係式のモジュライ空間であり、第3のスタックは楕円曲線とその上の3つの直線束のモジュライ空間である。また、スキーム上のVan den Berghの意味の非可換射影直線束の導来圏が、Orlov型の半直交分解を持つことを示した。更に、射影直線上の階数2の層両側加群の明示的な分類を行った。また、導来同値としての(特殊)McKay対応の非可換化についても議論した。
名古屋大学の石井亮氏及びマドリード自治大学のAlvaro Nolla de Celis氏と共同で、ダイマー模型への群作用の研究を行った。特に、群の作用に関して対称性を持つダイマー模型という概念を定式化し、GL(2,Z)の任意の有限部分群Hと、Hの作用に関して対称性を持つ任意の格子多角形Δに対し、Hの自然な作用に関して対称性を持つダイマー模型Gで、Δを特性多角形に持ち、しかも整合性条件を満たすものが存在することを示した。これによって、トーリック特異点ではなく、しかも商特異点でもない3次元のGorenstein特異点のVan den Berghの意味での非可換クレパント解消の例の無限系列を作ることができる。
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