研究課題/領域番号 |
16K13746
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
大川 新之介 大阪大学, 理学研究科, 准教授 (60646909)
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研究分担者 |
後藤 竜司 大阪大学, 理学研究科, 教授 (30252571)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 非可換代数幾何学 / 一般化された複素構造 / ポアソン構造 |
研究実績の概要 |
複素代数多様体上の連接層の圏の変形(=非可換変形)と同じ多様体の一般化された複素多様体としての変形の関係を理解するのが本研究の目的であった。今年度はまず、非可換射影平面のAbdelgadir-Okawa-Uedaの意味での安定性について再考察した。その結果、従来の非可換代数幾何学の意味での非可換射影平面は全て半安定であることがわかった。期待としては、将来的には"特殊ケーラー計量"の存在問題と関係づけたい(これについては後藤氏の研究が進展中のようである)ので、その観点からも意味のある結果であると言えよう。また、AOUの導入した非可換射影平面のモジュライ空間と射影平面上の正則ポアッソン構造のモジュライとの関係についても後藤氏と議論をして理解が深まった。 一方、毛利-植田両氏と共同で、Hirzebruch曲面の非可換変形の明示的なパラメトリゼーションを与えた。次数が4以上のHirzebruch曲面の非可換変形が障害を受けていることが後藤氏の最近の研究でわかっていたが、非可換代数幾何によって変形空間のより詳細な記述を与えたることができた。 12月には、Oxfordで行われた非可換代数幾何と一般化された複素構造に関する研究集会に参加し、非可換del Pezzo曲面のAOUによるモジュライ構成に関する発表をするとともに参加者と議論を重ねた。この話題に興味のある研究者の多くが集まっていたと感じるが、十分納得のいく理解からはまだ遠いという印象を受けた。その一方で物理的視点からの講演で興味深いものがあり、検討課題を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
少しずつではあるが、canonicalな例である非可換射影平面と射影平面の正則ポアッソン変形の場合について理解が進みつつある。
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今後の研究の推進方策 |
次年度はアーベル多様体の場合をより深く考察し、手掛かりを得ることを目標にする。
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次年度使用額が生じた理由 |
学内業務等により思っていたほど出張が出来なかったため、その分が次年度使用額として残った。
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次年度使用額の使用計画 |
国内外の研究者と交流するために使用したい。場合によっては適切な専門家を招聘することに使いたい。
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