研究実績の概要 |
Frank Thorne 氏 (University of South Carolina) と Manjul Bhargava 氏 (Princeton University) との共同研究で、指数和の解析数論への応用について研究した。3次体を数える関数の誤差項の評価について、素数についての一様評価を、先行研究からかなり大きく改善できた。指数和の明示公式が重要な役割を果たす。手法は汎用性があり、4次体を数える関数や、相対3次拡大を数える関数を含め、他のさまざまな場合にも適用可能であると考えられる。副産物として、2次体を数える関数についても一様評価を改善し、その証明も単純化した。成果がまとまったので論文を執筆した。近いうちに投稿できると思われる。
指数和の計算については、昨年度の研究を Frank Thorne 氏 (University of South Carolina), Stanley Yao Xiao (University of Toronto), 伊藤哲史氏(京都大)、石塚裕大氏(京都大)との共同でさらに推し進めた。概均質ベクトル空間ではない代数群の表現で、指数和の興味深い明示公式を証明できた。手法はこれまでのものの改良で、軌道の階層化に、部分線形空間ではない部分代数多様体を活用する。この手法は他のより複雑な表現にも適用できると思われる。今後、解析数論への応用を研究し、成果をまとめたい。これとは別に、いくつかの概均質ベクトル空間について、軌道指数和の計算を進めた。特に、群を小さくした場合の挙動を研究し、いくつかの新しい明示公式を得た。軌道指数和は未解明の興味深い性質があり、今後も研究を継続したい。
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