研究課題/領域番号 |
16K13754
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
大槻 知忠 京都大学, 数理解析研究所, 教授 (50223871)
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研究分担者 |
佐伯 修 九州大学, マス・フォア・インダストリ研究所, 教授 (30201510)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 結び目 / 3次元多様体 / 不変量 |
研究実績の概要 |
結び目の Kashaev 不変量と双曲体積を関連づける体積予想は、量子トポロジーと双曲幾何をむすびつける懸案の予想であり、最近15年間 世界的にこの分野の中心的な話題となってきた重要な予想である。筆者は、7交点以下の双曲結び目に対して、Kashaev 不変量の漸近展開を精密に計算し、その最初の項に双曲体積が現われることを証明した。これは、この結び目に対して、体積予想が証明されたことを意味する。筆者は、この論文を学術誌に投稿し、出版された。また、3次元多様体の量子不変量の漸近展開に双曲体積が現れることを主張する「3次元多様体の体積予想」も近年定式化されており、8の字結び目を整数係数手術して得られる3次元双曲多様体に対してこの予想が成立することを筆者は証明して、論文を執筆した。また、漸近展開の準古典極限の項にはReidemeister torionが現れることが観察され、いくつかの例に対してそれを証明して、論文を執筆した。 筆者は、2017年5月に数理解析研究所において研究集会「Intelligence of Low-dimensional Topology」を開催した。この研究集会において、筆者は problem session を企画し、その成果として未解決問題集を編集した。この研究集会の報告集を数理研講究録として出版した。 多様体間の可微分写像で、少し摂動してもその微分トポロジー的性質が変わらないものを安定写像という。4次元多様体上の安定写像を考えると、ある特異ファイバーの符号付き個数を数えることで多様体の符号数が得られる。研究分担者の佐伯氏は、3次元多様体を境界にもつ4次元多様体に対してこれを考えることにより、3次元多様体上の安定写像に対する不変量を定義した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
結び目と3次元多様体の不変量や、 これと安定写像の関連について、研究がすすんでいる。 また、このトピックに関連して研究集会を開催する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
結び目と3次元多様体の不変量や、 これと安定写像の関連について、研究をすすめる。 また、このトピックに関連して研究集会を開催する。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由は、結び目と3次元多様体の不変量やこれと安定写像との関連について、未解決の部分があるため。 使用計画は、この研究に関連する研究者と研究連絡を行う。
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