研究課題/領域番号 |
16K13757
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
田丸 博士 広島大学, 理学研究科, 教授 (50306982)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | カンドル / 対称空間 |
研究実績の概要 |
(1) 平坦なカンドルについて,連結な場合には非常に限られたものしかないことが分かっている。一方で非連結な場合には,等質性を仮定したとしても,多くの例が存在する。実際,我々は昨年度までに,頂点推移的なグラフから平坦な非連結等質カンドルを構成することができることを示している。今年度は,その内容を整理し,論文としてまとめた。論文はほぼ完成しており,近日中に投稿予定である。 (2) 上記の研究で得られた平坦カンドルの一部は,有向実グラスマン内の部分集合として実現される。今年度は,そのような部分カンドルの特徴付けに関する研究を行った。現時点では完全な特徴付けが得られている訳ではないが,「対称可換」という性質と強く関わることが分かって来た。この研究は現在も継続中である。 (3) コンパクト対称空間内の「対称可換」な部分集合の研究を行った。今年度は,その一般的な性質を明らかにし,特に具体例として古典型リー群の場合を調べ,その中の対称可換部分集合をほぼ決定することができた。この結果は,論文としてまとめる予定である。 (4) 今年度は10月に「広島幾何学研究集会 2017」を,また12月に「合宿セミナー 2017 in 大久野島」を開催した。本研究費からは,講演者および参加者の旅費等の援助を行った。 (5) 今年度2月には組み合わせ論の研究集会に招待して頂き,そこでカンドルの研究について講演する機会を得た。以前から組み合わせ論の研究者との繋がりはあったが,それを強化することができた。また,今後の研究の指針についても多くの知見を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでは対称空間論を応用してカンドルを調べるという方向の研究を主に行ってきたが,逆にカンドルの研究から「対称可換」というアイデアを得ることができ,対称空間の研究に新しい問題を持ち込むことができた。このことは,当初の計画の予定通りではないが,想定以上に面白い方向に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
カンドルの構造理論の構築に向けた研究と同時に,そこから登場した対称空間論の新しい問題にも取り組む。特に,対称可換な部分集合の研究を通して,「対称空間をもっともよく近似する有限部分集合は何か」という問題に取り組みたい。
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