(1) 本研究計画の総まとめの意味も込めて、2018年11月に「カンドルと対称空間」と題した研究集会を大阪市立大学に於いて開催した。この研究集会には、カンドル・対称空間・組み合わせ論といった様々な方面の専門家による講演があり、多くの情報交換と交流を行うことができた。 (2) 前年までに引き続き、カンドルおよび対称空間内の「極大対称可換」な部分集合についての研究を行った。ここでカンドル内の部分集合が対称可換であるとは、その部分集合内の任意の二点において、それらの点に付随する点対称(二項演算で言うと右作用)が可換となることである。対称可換な部分集合は、対蹠集合の一般化になっており、興味深い対象であると考えている。本年の研究により、有向実グラスマン多様体内の極大対称可換部分集合については、ほとんどの場合に決定することができた。特に、多くの場合には等長的合同の下での一意性が成り立つが、例外的に一意性が成り立たない場合も存在することが分かった。この結果をまとめた論文を現在執筆中である。また、半分次元の部分空間の成す有向実グラスマン多様体の場合には、極大対称可換部分集合についても未解明の部分が多いの。その場合についても、研究を継続中である。 (3) 10月に「広島幾何学研究集会 2018」を広島大学に於いて、また12月には「合宿セミナー 2018 in 福山」を広島県福山市に於いて開催し、本研究費からも旅費の援助等を行った。
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