研究課題/領域番号 |
16K13759
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
乙藤 隆史 日本大学, 工学部, 准教授 (70339266)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 無限次元旗多様体 |
研究実績の概要 |
「項目1:無限次元旗多様体の量子コホモロジーの位相場の理論としての構造解明」については、位相的場の理論の高次カテゴリーを用いた定式化の枠組みとしての(Ayala, Francisらによる)分解ホモロジーの理論の応用を探求した。(この方向は、本年度より連携研究者の一人を交えた形で継続する予定である。)また、変形量子化の枠組みの量子コホモロジーへの有用性を探るため、リー代数の普遍包絡代数にかんするDuflo同型について、後述の研究集会において解説講演を行なった。予定していた正境界付き位相場とFrobenius多様体の一般化に関する、海外からの研究者との共同研究は招聘が叶わず、平成29年度に持ち越すこととした。「項目2:D-加群としての無限次元旗多様体の量子コホモロジー環の構造解明」については、残念ながら平成28年度においては着手に至らなかった。「項目3:インスタントンモジュライのZ-関数を用いた無限次元旗多様体の量子コホモロジーの研究」については、caloron(周期的インスタントン)のモジュライに関する既存の結果(Murrayらによる)の応用可能性を探求したが、具体的な結果を得るに至っておらず、本年度において継続する。また、リーマン面上のベクトル束のモジュライの幾何構造に関する知識を他の研究者と共有するために2017年2月13日-14日に幾何学的量子化を主題とする研究集会 Koriyama Geometry and Physics Days 2017 "Geometric Quantization and related topics" を連携研究者の一人と共催し、海外からの参加者一名を含む計24名の参加があった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
予定した3つの研究項目を同時に進めようとして、研究に充てることの出来る時間が分散してしまったために、それぞれに有効な労力を割くことが出来ず、いずれも当初期待していたほどの進展を得られなかった。また、連携研究者との共同研究は、お互いの都合の調整がつかず、ほとんど実行できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度に予定していた項目1-項目3は本年度も引き続き研究を継続する。平成28年度の反省を踏まえて、まずは項目1に重点を置いて進める。特に、予定していた海外からの研究者は再び本年度も試みる。また、連携研究者との共同研究も平成28年度はほとんど出来なかったので、本年度はこの点を積極的に推進する。研究計画・方法で平成29年度以降の計画として挙げていた予告していた項目4および項目5は当面着手を延期する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度にErnesto Lupercio氏(Cinvestav-IPN、Mexico)を日本へ招聘する計画を立てていたが、実現に及ばなかった。代わりに2017年2月に開催した研究集会にて国内からの参加者に旅費等の補助を行なったが、それでも未使用額が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度において改めてErnesto Lupercio氏の日本への招聘を試み、その際の旅費および滞在費に充てる。Lupercio氏を交えた研究集会を開いた際には、国内からの参加者にも補助を行なう。
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