研究課題/領域番号 |
16K13760
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
平澤 剛 茨城大学, 工学部, 教授 (10434002)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 不変部分空間 / 半閉部分空間 / 区間縮小法 / 線形次元 |
研究実績の概要 |
昨年度の進捗状況はやや遅れていたこともあり、平成29年度研究実施状況は、昨年度の研究テーマを継続する形で研究を行った。区間縮小法の適用を目指している本研究において、半閉部分空間からなる区間の区間列がテーマの中心であり、ある完備距離空間において「直径が零に収束するような単調減少する区間列の存在性の検討および(存在する場合は)それらの具体的な構成方法の考察」が実施計画である。半閉部分空間は必ず正値有界作用素の値域として表現されるため、正値有界作用素の特性を活かした区間列へのアプローチが重要であるという認識に立ち、CPR幾何に現れるような可逆な正値有界作用素による測地線を注視しつつ区間列の構成を考察した。現時点では、満足するような区間列の構成には至っていないが、対称な作用素平均に関する Uhlmann の作用素補間手法を取り入れることを検討した。これは、与えられた対称作用素平均を中点とし、それを区間[0,1]へパラメタライズされた補間作用素平均族のうちいくつかの要請条件を満たすもののことである。この作用素補間手法を用いて2つの半閉部分空間どうしを繋ぐ path を定義・導入し、それらの性質の考察を行った。特に、この path は両端に位置する半閉部分空間の正値有界作用素の値域表現の仕方に依存せず決まることが示された他、両端が、ある有界作用素について不変な半閉部分空間ならば、path 上にあるすべての半閉部分空間もその作用素で不変となることが示された。この path がある閉部分空間を通過していれば, それが探し求めている不変な閉部分空間のこととなるわけであるが、それを求めるためにも区間縮小法の適用を目指しているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度の実施状況がやや遅れていたこともあり、それに伴って当該年度の進捗状況もやや遅れていると判断せざるを得ない。ただ、新たな視点とそれについての諸性質を得ることができたので、一定の成果は得られたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度に引き続いて、半閉部分空間どうしを繋ぐ path を用いて区間列の構成を考察していくわけだが、複数ある対称作用素平均のうち、中点を作用素幾何平均にした場合、補間された作用素平均族から得られる半閉部分空間の path が測地線のような疑似的な機能を果たすのか、その機能を調査考察し、どう抽出利用していくかが今後の研究推進方策である。
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次年度使用額が生じた理由 |
都合により、予定していた出張に行くことができなくなり出張旅費を使用しなかったため。次年度の使用計画としては、H30年度分の助成金と合わせて使用する予定である。主に、物品や旅費に使用するのはこれまでと同様である。
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